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今年、流行も噂されるマイコプラズマ肺炎を早期診断します!

富士フイルムが簡易検査キットを今月投入
 富士フイルムは呼吸器感染症「マイコプラズマ肺炎」の簡易検査キットを月内に市場投入する。銀塩フィルムの技術を応用し、約15分で高精度に陽性・陰性を判定できる。現在使われている手法では難しかった早期診断が可能で、診断時間も短い。同感染症の簡易検査は国内の診療所、病院検査室などで年間約50万回実施されている。同社は検体数ベースでシェアの4割を目指す。

 ウイルスや細菌の有無を自動診断する分析装置「富士ドライケムイムノAG1=写真」専用のマイコプラズマ肺炎向け検査キットとして発売する。銀塩増幅技術を応用し、検体中で細菌と結びついて赤く表示する「金コロイド標識」を約100倍にして、視認性を高めた。

 発症初期の細菌が少ない検体でも高精度に検出でき、目視による誤診を低減する。価格は1万5000円程度を想定している。

 マイコプラズマ肺炎は子供などがかかると重症化しやすく、発症初期の迅速で正確な診断が求められている。従来、診断精度が高い遺伝子検査などがあるが、診断が高額で、検査の判定に数時間がかかっていた。一方「イムノクロマト法」と呼ばれる目視で陽性・陰性を判断する簡易法も普及しているが、発症初期は判断が難しい。

 富士フイルムは「AG1」など体外診断(IVD)事業に力を入れている。AG1は2011年に発売し、国内約1万4000台の導入実績がある。17年3月期には1万6000台に引き上げる計画だ。
日刊工業新聞2016年10月3日
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
がん、心臓病に続く日本人の死因第3位は「肺炎」。以前は子どもに多いと言われたマイコプラズマだが、最近は大人がかかるケースが増えてきている。

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