電力、お湯を親子で分けあうホンダのスマートハウス

エネルギーの地産地消へ、さいたま市で実証中

エネルギーの相互融通の実証ハウス
 ホンダは電力と熱を世帯間で融通し合うスマートハウスの実験棟をさいたま市に建設し、14年6月から実証を始めた。電力や熱を余った世帯から不足する世帯へと送り、エネルギーを効率利用する。ホンダにとって初の試みとなる電力の相互融通は太陽光発電の電力を地域で多く使う“エネルギーの地産地消”の手段として期待されている。

 【街に溶け込む】
 真新しい庭付きの住宅3軒がホンダのスマートハウスの実験場だ。植え込みもあり3軒が実証棟とはわからない。高級感のある外観は住宅展示場にも見え、街に溶け込んでいる。

 エネルギーを融通ができる3棟目の実験棟は12年に稼働した既設2棟の間に“新築”した。2世帯住宅として設計し、1階が定年退職した親世帯、2―3階が働き盛りの子世帯という設定だ。
 各世帯にはスマートメーター(通信機能付き電力量計)、家庭用エネルギー管理システム、ガスコージェネレーション(熱電併給)システムを1台ずつ設置。屋根の太陽光パネルは出力4・4キロワットずつを2世帯が所有する。子世帯には蓄電池を設置。親世帯では電気自動車(EV)を蓄電池代わりに使う。

 晴天の日中、留守がちの子世帯は太陽光パネルが発電した電力が余りやすい。そこで日中に在宅が多い親世帯に余った電力を送って活用する。お湯は冬の日中に床暖房を使う親世帯で余りやすい。子世帯は余ったお湯を融通してもらい、帰宅後に給湯に費やすエネルギー消費を抑える。電力と熱の融通は東芝のエネルギー管理システムが制御する。

 【エネ捨てない】
 ホンダの四輪事業本部スマートコミュニティ企画室の前田直洋企画ブロックリーダーは「捨てるエネルギーを少なくできる」と見込む。実証によって20年に自動車の走行分を含む二酸化炭素(CO2)の排出をゼロにする技術の確立を目指す。
 全国的に導入が増えている太陽光パネルの電力は通常、1軒単位で消費しているが、家の電力消費が少ないため使い切れない余剰電力が生まれる。ホンダの実証は2世帯住宅だが、電力融通を家と家に広げれば余剰電力を地域で分け合えるようになる。発電した電力を地域で直接、消費できる量も増え、“エネルギーの地産地消”に近づく。余剰電力が電力系統に流れる逆潮流も減り、系統の負担も和らぐ。

 【実用化近づく】
 NTTファシリティーズなどは14年夏、環境省の委託で山形市内で電力融通の実証を始めた。県立高校2校と県事務所、県職員住宅が集まる敷地に太陽光パネルと蓄電池を設置。余剰電力を電力不足の施設へ送電する。ソニーも沖縄県で電力融通の実証を計画する。スマートコミュニティーにつながる技術として各地で実証が相次いでおり、実用化が近づいている。

※「スマートコミュニティJapan2015」が6月17日に開幕します(会場=東京ビッグサイト)。昨年の「スマートコミュニティJapan2014」で掲載したスマートコミュニティーの事例を随時紹介していきます。

日刊工業新聞2014年06月13日 建設・エネルギー・生活1の記事に加筆

COMMENT

松木喬
編集局第二産業部
編集委員

実証をしている現地に行くとわかりますが、外観・間取りは高級住宅です。無人運転で車庫入れができる駐車場もあり、最新鋭の設備がそろっています。電力・熱の世帯間融通でどれだけ無駄なエネルギーが減ったのか、その成果も楽しみですが、実証ハウスがいつ発売されるのか興味があります。

関連する記事はこちら

特集