今日まで開催シーテック、まるっと早わかり。業種を超えてつながろう!

オープンイノベーションは新たな事業を生み出すか

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タカラトミーがNTTドコモと開発した対話型ロボット「OHaNAS(オハナス)」
 IoT(モノのインターネット)の普及で欠かせないキーワードが、オープンイノベーションだ。IoTを活用して多種多様な製品やサービスを生み出すには、業種や企業の垣根を越え、従来にない発想や技術の創出が求められる。IoTを軸に据えたシーテックでは、電機業界以外からの出展が多く見られ、その潮流を感じさせた。

 今回のシーテックでは、異業種と連携する事例が目立った。会社としても業界としても初の出展となったタカラトミーは、NTTドコモと共同で開発した対話型ロボット「OHaNAS(オハナス)」を展示した。

 タカラトミーの出展の狙いは、異業種との協業の拡大にある。愛着のあるキャラクター作りの知見や、最新技術を安価な玩具に落とし込むノウハウを異業種に供与して連携し、BツーB(企業間)ビジネスで展開する考えだ。同社は「他業種との連携により、これまでとは違った事業創出が見込める」と期待する。

 パラマウントベッドと共同で開発した「排泄(はいせつ)検知シートLifi」を紹介したのは、ベンチャー企業のaba(千葉県船橋市)。ベッドに敷くことで、高齢者や障がい者の排泄を検知できる。abaの宇井吉美社長は「介護サービスや量産の知見を持つ大企業と連携したからこそ、よりビジネスに近い製品を設計できた」と喜ぶ。同製品は年度内に発売する計画だ。

 一方、ブロックチェーン(分散型台帳技術)を使ったシステムを提案するカレンシーポート(東京都千代田区)は、富士通のベンチャー支援制度を活用。光に位置情報などを埋め込む富士通の技術を組み合わせ、スマートフォンを光にかざすとスタンプが発行されるシステムを紹介した。同社の杉井靖典社長は「大手企業の研究所の技術を知ることで、用途の幅が広がる」と協業の効果を説明する。

 このほかサービス業では、楽天がコーディネート提案システムなどを展示。JTBは空中映像を操作して観光地の情報を見られるシステムを披露した。金融分野では三菱UFJフィナンシャル・グループが参加した。多様な企業が電機各社との連携に意欲をみせており、オープンイノベーションに取り組む土壌が整いつつある。

 また、各社はシーズ(技術の種)の獲得にも積極的だ。触覚を遠隔地に伝える「ハプティクス」の技術を公開した慶応義塾大学では「すでに10社近くから連携の話がある」(大西公平教授)という。

 例えば乗り物の場合、ハンドルに伝わる段差や砂利道などの路面の感触を離れた場所の模擬ハンドルで再現できる。自動車関連企業などが興味を示しているという。大西教授は「以前よりも企業の熱心さが高いような印象がある」と話す。

 革新的な新製品や新サービスが登場する予感を示したシーテック。これまでにない連携のあり方が、IoTを使った新産業を興すドライバーになる。

日刊工業新聞2016年10月7日

COMMENT

明豊
デジタルメディア局
局長

若い人のデマンドが非連続的に変わりつつある。そしていろいな新しい技術が出てきた。さまざまな要素が重なり価値が変わり始めて、産業そのものを再定義する潮目にある。かつてシーテックで主役を張ってきた大手企業が見えていること、持っているものマインドだけだと足りない。ベンチャーを含めいろんな人と「共に創る」という動きは今後も増えていくだろう。

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