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「名古屋空港」が航空機の一大観光スポットになる!

MRJ、YS―11、零戦などの展示施設が17年開業へ
「名古屋空港」が航空機の一大観光スポットになる!

展示施設のイメージ(愛知県の資料から)

 愛知県は15日、県営名古屋空港(豊山町)内に、国産小型旅客機「MRJ」や初の国産旅客機「YS―11」、戦前の戦闘機「零戦」などの実機を展示する施設を建設すると発表した。事業費は総額約30億円で、MRJの納入開始が予定される2017年4~6月をめどに開業する。新施設を中核に、近隣の三菱重工業のMRJ量産工場、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の飛行研究拠点、航空自衛隊小牧基地(小牧市)などとも連携。空港全体を「フィールドミュージアム」と位置付け、産業観光の一大拠点として整備する考えだ。

 大村秀章知事が記者会見で発表した。展示施設は延べ床面積が約7000平方メートル。MRJの試験機やYS―11、零戦などを展示する「実機展示ゾーン」や、現在は空港ターミナルビルにある25分の1スケールの模型を集めた「名機百選」を展示するコーナーなどを設ける。

 年間来場者数は35万人を想定。入場料は大人1000円、子ども500人とし、年間2億円の収入を見込む。職員は正職員と嘱託合わせて18人を想定している。

 県はかねて、航空機産業を自動車などに続く基幹産業として育成する考えを示してきた。MRJの開発により将来的に工場や空港の見学者が増加するとみて、14年から空港周辺の受け入れ体制を検討。その結果、「名古屋空港周辺は高い情報発信力が潜在しているが、国内外の認知が高いとは言えない」として、新拠点の開設によって地域振興につなげていく考えだ。県は新拠点を整備するため、5月臨時議会に1億800万円の予算案を提出する。

 新施設と連携する「フィールドミュージアム」の想定する施設は以下の通り。

 ①MRJ量産工場 = 航空機生産の現場を間近で見られるツアー
 ②名古屋空港   = 空港の管制塔やバックヤードなどのツアー
 ③三菱重工史料室 = 零戦やビジネスジェットの展示施設をめぐるツアー
 ④JAXA    = 空港に隣接するJAXA研究拠点のツアー
 ⑤航空館boon   = 実機展示施設ツアーや、展望台からのMRJ駐機場の観覧
 ⑥自衛隊基地   = 航空自衛隊小牧基地の見学ツアー
 ⑦撮影スポット  = 空港ビルや周辺の公園など航空機の撮影スポットを巡るツアー


 また、県は三菱重工が建設中のMRJ量産工場における見学施設の整備計画の概要も併せて発表した。量産工場は5階建て。三菱重工は機体の組み立てラインや、配線や配管を取り付ける「艤装」ラインの見学を可能にする方向で検討を進めている。
ニュースイッチオリジナル
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
朝から名古屋のメディアはこの話題で盛り上がっています。壮大なハコモノ行政とも言えますが、航空機を主力産業にするという県の意気込みは伝わります。ちなみに、名古屋空港は現在メインの航空路線が発着する「中部国際空港」とは別の空港で、10年前に中部空港が開業するまで名古屋の玄関口だった場所。現在は旅客便では唯一、地域航空会社の「フジドリームエアラインズ」の航空機が使っています。新施設の建設で、愛知県に空港は一つで良いという「空港一元化問題」を、さらに複雑にさせる可能性もありますね。

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