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関空・伊丹の新関西空港会社、安藤社長「(運営権が)高すぎるという認識はない」

22日に1次入札。オリックスと仏ヴァンシ連合が名乗り。他が入札に参加しない懸念も成立に自信
関空・伊丹の新関西空港会社、安藤社長「(運営権が)高すぎるという認識はない」

新関空会社の安藤社長=5月14日

 関西空港と伊丹空港の運営権を、民間企業にコンセッション方式で売却する新関西空港会社の安藤圭一社長は5月14日、総額2兆2000億円となる運営権の対価について、投資家の理解を得られるとの考えを示した。

 運営権売却は22日に1次入札を行い、2016年1月から新会社による運営を開始する見通し。すでにオリックスと仏空港運営会社ヴァンシ・エアポートの企業連合が名乗りを挙げているが、2兆円を超える運営権対価や45年間という運営期間の長さなどから、他社が入札に参加しない可能性が懸念されている。

 安藤社長は運営権対価について、「高すぎるという話はないと認識している」と述べ、投資家の理解は得られているとの見方を示した。「金額の絶対額は大きい。日本ではインフラ投資が少ないから、投資家は慎重に見ていると思う」と語った。

 新関空会社が14日に発表した2015年3月期通期連結決算は、売上高が前期(14年3月期)比21.3%増の1538億2200万円、営業利益は35.7%増の442億6100万円だった(関連記事)。中期経営計画と比べると、売上高は33億円、営業利益は90億円上回り、営業利益に減価償却費を足し戻したEBITDA(利払い前税引き前償却前利益)は、89億円上回る693億7200万円となった。

 「間違いなく魅力的になってきた」と、安藤社長は同社の企業価値が向上していると語る。「投資家側から見ると、(EBITDAの)694億円に新関空会社に残る資産や事業の65億円を足すと、759億円になる。投資家の手元に残るキャッシュフローが759億円あるという考え方だ」と説明した。

 EBITDA倍率については、「2.2兆円を現在価値に変え、759億円で割ると11.5倍。最近の事例を見ても、決して高くない水準」と語った。運営期間を45年間に設定した背景について、安藤社長は「われわれは30年くらいで良いかなと思った」と前置きした上で、新会社が空港施設などへ投資した場合、期間が短いと回収できない可能性があると指摘。「投資をすれば回収しなければならない。海外の事例を見ると、40年以上はいるよねとなった」と述べ、世界的に見ても一般的な水準だと強調した。

 安藤社長は、オリックス・ヴァンシ連合の1グループのみの参加となった場合について、入札が不成立に終わる可能性は「そうはならないと思う。例え1グループであったとしても、進めていくことになるだろう」との見方を示した。
吉川忠行
吉川忠行 Yoshikawa Tadayuki Aviation Wire 編集長
関空・伊丹の運営権売却で、新関西空港会社の安藤社長は売却額は「高すぎない」との見解を示しました。また長すぎるという声がある運営期間についても、理由を述べています。

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