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「さが美」投資ファンドの買収合戦。ニューホライズンが買付価格引き上げへ

親会社のユニー・ファミリーマートはどのような選択を下すか
 ユニー・ファミリーマートホールディングス(HD)の子会社で呉服専門店を展開するさが美へ買収提案をしている独立系投資ファンドのニューホライズンキャピタル(東京都港区)は、買収価格を引き上げる方針を固めた。当初の1株70円を同90円にするほか、5億円程度の資金調達の支援を行う模様。さが美については8月に旧ユニーグループ・ホールディングスと投資ファンドのアスパラントグループ(同)が買収に向け合意、ファンド同士による買収合戦になっている。ニューホライズンはさらに好条件を提示することで、ユニー・ファミリーマートHDの取締役会に対し最適な売却先を選ぶ「善管注意義務」の履行を促したいと見られる。

 アスパラントは現在、1株56円で株式の公開買い付け(TOB)を実施中。今回のニューホライズン側の新提案により両者の投資額の差は約12億円まで広がる。アスパラントのTOB(株式公開買い付け)の期限が10月11日に迫っている。

 買収提案額で見るとニューホライズン案が勝るが、ユニー・ファミリーマートHDは金額以外の要素も考慮している可能性もある。仮にアスパラントを選択した場合はユニー・ファミリーマートHD側に合理的な説明責任が求められることになる。

 ユニーグループ・ホールディングスとファミリーマートは9月1日に経営統合、統合に向け、ユニーは不採算事業の整理を急いできた。さが美は赤字体質が続いている。

 昨年6月から上場企業に適用されたコーポレートガバナンス・コードでは、独立した社外取締役の役割・責務として「経営陣・支配株主から独立した立場で、少数株主をはじめとするステークホルダーの意見を取締役会に適切に反映させること」という項目がある。今回、ユニー・ファミリーマートHDの取締役会がどのような機能を果たすかも注目される。

 
日刊工業新聞電子版2016年9月30日
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
今回、日本では実質的に初となるオープンな形でのファンドによる友好的な買収提案になる。その意味でも日本における金融資本市場の透明性が試されている。

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