ニュースイッチ

「ポスカ」親子をターゲットに拡販!三菱鉛筆

「ポスカ」親子をターゲットに拡販!三菱鉛筆

新宿高島屋で行われたイベント。親子が夢中になってプラバン作りに取り組む

 三菱鉛筆はボールペンなどさまざまな筆記用具を製造、販売している。1983年に発売したポスターカラーの水性サインペン「ポスカ」は同社の主力製品。ペン先の太さは6種類で、各8―30色のラインアップを持つ。店頭POPのデジタル化で売り上げは少しずつ減少していたが、発売30周年を迎えた13年に販売方法を刷新。「家庭にポスカを普及し親子で楽しむ」をテーマとした販売戦略を展開している。売り上げをふたたび上向かせ、海外へと販売の幅を広げている。

 【知名度は十分】
 これまでポスカの顧客は主に教育機関やPOPを作る小売店だった。商品開発部商品第2グループの加藤健二郎課長代理は「家庭に普及させるため製品の知名度や性能は十分だったが、使い方を提案し切れていないのが課題だった」と振り返る。
 そこで13年にウェブサイト「ポスカミュージアム」を開設。ポスカを使ってお菓子やプレゼントをかわいらしくラッピングする方法など、親子で楽しむ幅広い使い方を提案している。
 さらに13年6月から1年間、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)の「フェイスブック」で、ポスカを使って作った作品を公募した。毎月1点最優秀作品を決め、日本で手に入らないアイボリーなどの色を含むポスカ54色のセットを作成者にプレゼントした。「初めは芸術作品を作るような方からの応募が多かったが、徐々に一般の親子の作品の応募が増えた」(加藤課長代理)という。

 【写真に使える】
 一方、さまざまなイベントでポスカの性能を体験してもらい、販売促進につなげる取り組みも行っている。ポスカは紙だけではなく写真にも書ける。そこで多種多様なアルバムの作成方法を提案し、写真の現像とアルバム作りを推進する一般向けイベント「アルバムカフェ」(富士フイルム主催)にポスカを提供している。入学式や運動会などのアルバム作りを親子で楽しんでもらい、ポスカ購入につなげる。
 また樹脂製の板に絵を描きオーブントースターなどで加工、固定化する「プラバン」製作にもポスカが使える。親子で楽しめるプラバン製作イベントを15年4月に東京・新宿の高島屋1階にて開催。プラバンの材料である樹脂やポスカ、テーブルなどを用意。1日で親子連れなど約100人がネームプレートやアクセサリー作りを楽しんだ。

 【イベント継続】
 加藤課長代理は「これまでにも夏休みの工作用で子ども向けのイベントはあったが、親子で作れるものは初めて。大人が楽しそうに作っていたのがうれしかった」と笑顔をみせる。今後も同様のイベントを開催。「親子によるプラバン作り」を販売促進に利用する。
 また海外では、発色のよさからプロの芸術家がポスカを好んで使うという。00年頃から海外販売を始め、07年以降欧州市場を中心に売り上げが拡大している。海外では日本にはない微妙な違いの色を展開。アーティスト向けに焦点を絞る。各地域のニーズに合わせた戦略で拡販を目指す。
(南東京・門脇花梨)
日刊工業新聞2015年05月15日 モノづくり面
昆梓紗
昆梓紗 Kon Azusa デジタルメディア局DX編集部 記者
学校でたくさんお世話になったポスカ。そういえば最近使っていなかったな~と思いました。発色がキレイで、なめらかで書きやすく、何より使い始めにシャカシャカ振るのが好きでした。

編集部のおすすめ