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環境とデザイン両立の車両続々!JR東日本「リゾートしらかみ」はハイブリッド

保有するディーゼル車が老朽化で蓄電池に脚光。外観にブナやハローキティも
環境とデザイン両立の車両続々!JR東日本「リゾートしらかみ」はハイブリッド

来年7月に導入されるJR東日本「リゾートしらかみ」の新車両

 JR東日本は14日、奥羽本線・五能線で運行する観光列車「リゾートしらかみ」の「ブナ(ブナは木へんに無)」編成の後継車両として、ディーゼルエンジン発電機と蓄電池の2種類の動力源をもつディーゼルハイブリッドシステムの新型車両を2016年7月に導入すると発表した。車両は1編成4両で、投資額は約14億円。工業デザイナーの奥山清行氏が代表を務める「KEN OKUYAMA DESIGN」が車両のデザイン担当する。

 新たにイベントスペースを先頭車両に設け、中間車両には沿線の食を提供するフードカウンターとソファタイプのボックス席を設置する。冨田哲郎社長は「各地の特色を生かした車両を提供し、これまで鉄道に乗らなかった顧客層に鉄道の旅を味わうきっかけを提供していきたい」と述べた。
(日刊工業新聞2015年05月15日 建設・エネルギー・生活面)

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 鉄道各社で蓄電池電車の開発や営業運転への投入が加速している。JR西日本は近畿車両が開発した充電型バッテリー電車「SmartBEST」を9月から和歌山のJR紀勢本線、串本―新宮間の観光列車に導入。JR九州は国内初の交流電化方式の蓄電池電車を開発し、2017年度にも営業運転に投入する計画だ。JR東日本は蓄電池駆動電車「ACCUM(アキュム)」を3月から烏山線で運転。各社、ディーゼル車に代わって非電化区間を走行する電車として蓄電池電車を開発し、置き換えを進めて環境問題などに対応する。

 JR西日本のSmartBESTは和歌山県のデステネーションキャンペーンに合わせ、観光列車「ハローキティ和歌山号」として運行を始めた。外装には和歌山の観光地を巡るハローキティを描き、内装もハローキティ一色。運転士などの乗務員の制服は特別に車内の雰囲気に合わせた赤色。12月14日までの週末に運転予定だが、ほぼ満席の人気ぶりだ。

 SmartBESTは大容量のバッテリー電源で走行する。バッテリーが放電した分だけ、小型のエンジン発電機で効率よく充電する。1両当たりのエンジン出力は従来のディーゼル車の約4分の1に低減可能で、バッテリーの残量をモニタリングしながら走行状態に応じて充電する。

 JR九州は13年度に非電化区間を走行する次世代の車両として、大容量の蓄電池を搭載した電車の走行試験を始めた。交流電化方式の電車を改造し、大容量高電圧の蓄電池を床下に搭載。交流電化方式の蓄電池電車として国内初の試みだ。17年にも営業運転に投入する計画で、新車両は16年度内に完成する予定。同社は保有するディーゼル車約300両のうち約200両を10年以内に蓄電池電車に置き換える。

 JR東日本は3月から烏山線でアキュムの運行を始めた。アキュムは電化区間では蓄電池に充電しながら普通の電車と同様に架線からの電力で走行。非電化区間では蓄電池の電力で走行する。同社は車両製作や充電設備の整備などに約18億円を投資。数年で烏山線の全車両をアキュムにする。周辺の交流電化区間の路線などにも蓄電池電車を展開する。

 JR各社が保有するディーゼル車は老朽化が進んでいるほか、CO2排出量や騒音など環境面での課題もある。ディーゼル車の置き換えには非電化区間を電化するのも選択肢の一つだが、設備投資や保守などコストがかさむため、蓄電池電車の開発を進めている。今後はさらに省エネ化など技術革新を進めていく。
日刊工業新聞2014年11月07日 建設・エネルギー・生活面
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
車両の切り替えはプロモーションの絶好の機会。JR東日本の富田社長も言うように、もっと地域の特色を出した方がいい。それにしても混雑ぎゅうぎゅう詰めの通勤電車ももっと楽しくならないものか。

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