値引きの下支えから本当の新車効果へ。日産、国内販売の局面転換

「(燃費不正問題で)日産ブランドが毀損したという認識はない」(星野専務)

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星野専務執行役員と新型「セレナ」
**専務執行役員・星野朝子氏
 ―先月発売した新型ミニバン「セレナ」の反響は。
 「受注は好調でホームページのアクセス数も高水準だ。特に自動運転技術『プロパイロット』は7割の客が選んでおり関心が高い。手がふさがっていても開けられるスライドドアも好評だ」

 ―米国で自動運転モード中のテスラ車で死亡事故が起きました。技術の過信が新たなリスクになりえます。
 「高速道路の単一車線で使用するもので、運転を支援する技術だと説明している。勝手に車が運転するという訴求はしない。高速道路で試乗ができない販売店があるから解説ビデオも作った。技術をわかりやすく正確に伝えている」

 ―プロパイロットの他車種への展開は。
 「現行モデルの全面改良の時や、新規車種の投入に合わせてどんどん広げたい。現行モデルのままで搭載できるかも検討している。セレナが市場に出始めたことでデータがたまり改善もできる」

 ―三菱自動車製の軽「デイズ」で不正が発覚し生産停止で軽の販売が落ちました。どう立て直しますか。
 「生産停止の間に購入を待っていた客がいたため再開してから受注が堅調だった。その効果が一巡したが9月の受注も不正前からそんなに落ち込んでいない。立て直すというより影響をあまり受けていないという印象だ」

 ―その理由は。
 「不正があったのは燃費であって、燃費を重視する客があまりいないようだ。車自体が良いこともあると思う。軽はこれまで通りデイズをどう拡販していくかだ」

 ―不正は三菱自がしたことですが、デイズが三菱自製だと知らなかった客もいます。日産のブランドに影響はありませんか。
 「日産ブランドが毀損したという認識はない。販売現場の士気も落ちなかった。むしろ現場は危機感をもって対応し、軽が生産停止で減った分、登録車で良い成績を上げた」

 ―5月に公表した今期販売計画は不正の影響を織り込んでいますが、消費増税の延期は織り込んでいません。
 「消費増税の延期が決まった時は計画に対し弱含むとみていたが、登録車は想定以上だ。足元の調子もいい。計画通り58万台を達成したい」

【記者の目・過度な増販の影響懸念】
 数年目立った新車が少なく16年度は反転攻勢を掛ける重要な年と位置づけていただけに不正問題は痛い。下期はセレナと主力小型車「ノート」など登録車が拡販戦略の中心となる。だが上期の登録車の健闘は値引きに支えられていたとみられ、不正問題をカバーするための過度な増販が収益に与える影響が懸念される。
(聞き手=池田勝敏)

日刊工業新聞2016年9月27日

COMMENT

池田勝敏
編集局経済部
編集委員

国内シェアの長期低迷で、日本市場をないがしろにしているのではとの指摘もされるが、プロパイロットも今秋ノートに搭載するev技術「eパワー」も日本が世界で初出しになる。いずれも業界の競争軸となっている安全・環境技術の目玉となるものと考えると国内の建て直しに本腰を入れ始めたのかもしれない。

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