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意外と少なかった「顔のかゆみ」治療薬。今シーズン相次ぎ投入

意外と少なかった「顔のかゆみ」治療薬。今シーズン相次ぎ投入

ロート製薬が9月に発売した顔のかゆみや湿疹に効く「メンソレータムカユピット」

 OTC医薬品(大衆薬)や化粧品メーカー各社は、これまでほとんどなかった顔のスキンケアに特化した大衆薬を2015年から16年秋冬にかけて相次ぎ投入している。15年は顔の乾燥肌の治療薬が中心だったが、16年秋冬は顔のかゆみ、湿疹かぶれの治療薬に適応した製品群へ広がっている。

 ロート製薬が調べた直近1年で起こった肌トラブルは1位が「あせも」で、次いで「手の湿疹」の順。3位の「顔のかゆみ」は顔のトラブルの中でも約7割を占めるものの、顔に特化した大衆薬はほとんどなかった。顔トラブルの患者の多くは病院に行くが、「ステロイドを使うのは心配」という声も多い。

 こうした声を反映し、各社は15年秋に主に乾燥肌の薬を市場に投入。小林製薬が「Saiki(さいき)」、ロート製薬が「ペパソフト」、資生堂が「IHAD(イハダ)」を発売した。これら新製品の効果などで、顔のスキンケア医薬品の15年度国内売上高は前年度比6億円増の10億円に拡大した。

 16年に入ってからは、顔のかゆみに適応する治療薬の投入が目立っている。

 小林製薬は7日に顔のかゆみや荒れの治療薬「キュアレア」を発売した。需要を取り込むため、「顔の肌トラブル対策の企画を店頭ブースで展開する」(小林章浩社長)方針。

 ロート製薬は12日に顔のかゆみ解消を前面に打ち出した治療薬「メンソレータム カユピット」を発売した。同社はウェブ上で顔のかゆみ予防などを啓発し、販売促進につなげる予定だ。

 顔は体に比べて皮膚も薄く外的刺激にさらされやすい一方、トラブルが起きた時に見た目も気になるデリケートな箇所。そこで各社は効果と使いやすさを両立した選びやすい大衆薬を発売し、顔のスキンケア医薬品市場の拡大を目指す。
(文=大阪・香西貴之)
日刊工業新聞2016年9月27日
昆梓紗
昆梓紗 Kon Azusa デジタルメディア局DX編集部 記者
顔のトラブルは目立つので、なかなか気分が落ち込みます。化粧品か病院で解決というイメージがありましたが、手軽に購入できる大衆薬で対応できるのは良いですね。

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