スマホがあれば「誰でも、どこでも」技能者になれる!カメラで業務手順早わかり
スタディスト、画面に触れずにページ送りができる新機能。用途さらに広がる
スタディスト(東京都千代田区)は、スマートフォンやタブレット端末(携帯情報端末)で業務マニュアルを作成・共有できるツール「ティーチミービズ」について、新たに画面に触れずにページ送りができる機能を実装した。衛生上の問題から飲食店ユーザーは画面上をフリックするたびに手を拭くという煩わしさがあったほか、手袋を着用して作業する農業や製造業からも同様のニーズがあり、機能強化に踏み切った。
新機能「ジェスチャーフリック」は近接センサーを使ってページの切り替えが可能。手をかざして1秒以内に離すと1ページ進み、1秒以上かざして5秒以内に離すと1ページ戻る。対応機種はアンドロイド搭載のスマホと、近接センサーを搭載した一部のタブレット端末。アプリのアップデートのみですぐに使用できる。今後iOS端末向けにも開発を進める。
(日刊工業新聞2015年05月14日中小・ベンチャー・中小政策面)
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スタディストは、スマートフォンのカメラ機能を使って業務手順を簡単に作成するサービスを提供している。店舗などが多い小売り・流通業で導入が進んでいるが、予想以上に関心を寄せているのが中小製造業。熟練技術者不足の解消のほか、事業継承や技能伝承に役立てようとするユーザーも出てきた。
名称は「ティーチミー・ビズ」。2013年9月から企業向けに本格的にサービスを始めた。鈴木社長は業務改善のコンサルティングをしていたが、分厚い紙のマニュアルを作っても、分量が多くほとんど読まれず役立たないことを痛感していた。
最近では電子化されているケースも増えているが、情報が古くなっても更新できない。そこで考えたのがスマホを使ったクラウドサービス。まず専用アプリ(応用ソフト)を導入したスマホで作業の様子を撮影。専用のウェブサイトに画像をアップし、スマホやパソコンから写真の内容を説明する文章を書き込み、1枚の画像ができる。
この手順を繰り返し何枚も画像を蓄積。紙芝居のようにスマホを手でスライドさせていく。写真に文字や矢印を入れたり、外部リンクを貼る編集機能もある。サイトは登録メンバーだけが閲覧可能で、SNS(交流サイト)機能でコメントもできる仕組み。
あらゆる業種で利用可能だが、もともと鈴木悟史社長は金型製造のインクス(現ソライズ)の技術者で、メーカーの現場に精通する。「これは中小のモノづくり企業の生き残りに貢献できる」(鈴木社長)と確信したという。
すぐに導入したのが鋼板加工機械の設計・製造の協和製作所(横浜市鶴見区)。自動化により熟練者が減り、トラブル発生時に迅速な復旧が難しくなっていた。製造ラインを納入した顧客に対し、国内であれば技術者を派遣し日本語で対応できる。しかし海外工場では言語が壁になり、専門的な操作手順が正確に伝わらない。しかも渡航時間もかかる。そこでネット上にサポートマニュアルを用意、今後は操作に不慣れな海外作業員にも理解しやすくなる。
天明佳幸社長はその先の展開も考えている。「製造ラインは環境や用途でカスタマイズが必要。ティーチミーを使って機械トラブルのノウハウを我が社が蓄積し、ティーチミーでお客さんに受け渡す好循環をつくりたい」という。
大鉄精工(埼玉県三郷市)は従業員がわずか2人の金属加工メーカー。医療機器や潜水艦などの部品を得意としているが、一つひとつの作業にノウハウが詰まっている。木下道貴社長は当初、ノートに書いてノウハウを共有していたが、ボロボロになり紛失リスクもあった。
「ノウハウを会社の資産にするのにクラウドなどの新しいものを積極的に取り入れることは、個人が技術を磨くことと同じように重要」と木下社長。今月、ティーチミーの導入を決めたエコミナミ(東京都稲城市)は、村上誠会長の頭の中にノウハウの大半が詰まっている。佐藤央社長は事業を引き継ぐために活用するそうだ。
新機能「ジェスチャーフリック」は近接センサーを使ってページの切り替えが可能。手をかざして1秒以内に離すと1ページ進み、1秒以上かざして5秒以内に離すと1ページ戻る。対応機種はアンドロイド搭載のスマホと、近接センサーを搭載した一部のタブレット端末。アプリのアップデートのみですぐに使用できる。今後iOS端末向けにも開発を進める。
(日刊工業新聞2015年05月14日中小・ベンチャー・中小政策面)
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スタディストは、スマートフォンのカメラ機能を使って業務手順を簡単に作成するサービスを提供している。店舗などが多い小売り・流通業で導入が進んでいるが、予想以上に関心を寄せているのが中小製造業。熟練技術者不足の解消のほか、事業継承や技能伝承に役立てようとするユーザーも出てきた。
名称は「ティーチミー・ビズ」。2013年9月から企業向けに本格的にサービスを始めた。鈴木社長は業務改善のコンサルティングをしていたが、分厚い紙のマニュアルを作っても、分量が多くほとんど読まれず役立たないことを痛感していた。
最近では電子化されているケースも増えているが、情報が古くなっても更新できない。そこで考えたのがスマホを使ったクラウドサービス。まず専用アプリ(応用ソフト)を導入したスマホで作業の様子を撮影。専用のウェブサイトに画像をアップし、スマホやパソコンから写真の内容を説明する文章を書き込み、1枚の画像ができる。
この手順を繰り返し何枚も画像を蓄積。紙芝居のようにスマホを手でスライドさせていく。写真に文字や矢印を入れたり、外部リンクを貼る編集機能もある。サイトは登録メンバーだけが閲覧可能で、SNS(交流サイト)機能でコメントもできる仕組み。
あらゆる業種で利用可能だが、もともと鈴木悟史社長は金型製造のインクス(現ソライズ)の技術者で、メーカーの現場に精通する。「これは中小のモノづくり企業の生き残りに貢献できる」(鈴木社長)と確信したという。
すぐに導入したのが鋼板加工機械の設計・製造の協和製作所(横浜市鶴見区)。自動化により熟練者が減り、トラブル発生時に迅速な復旧が難しくなっていた。製造ラインを納入した顧客に対し、国内であれば技術者を派遣し日本語で対応できる。しかし海外工場では言語が壁になり、専門的な操作手順が正確に伝わらない。しかも渡航時間もかかる。そこでネット上にサポートマニュアルを用意、今後は操作に不慣れな海外作業員にも理解しやすくなる。
天明佳幸社長はその先の展開も考えている。「製造ラインは環境や用途でカスタマイズが必要。ティーチミーを使って機械トラブルのノウハウを我が社が蓄積し、ティーチミーでお客さんに受け渡す好循環をつくりたい」という。
大鉄精工(埼玉県三郷市)は従業員がわずか2人の金属加工メーカー。医療機器や潜水艦などの部品を得意としているが、一つひとつの作業にノウハウが詰まっている。木下道貴社長は当初、ノートに書いてノウハウを共有していたが、ボロボロになり紛失リスクもあった。
「ノウハウを会社の資産にするのにクラウドなどの新しいものを積極的に取り入れることは、個人が技術を磨くことと同じように重要」と木下社長。今月、ティーチミーの導入を決めたエコミナミ(東京都稲城市)は、村上誠会長の頭の中にノウハウの大半が詰まっている。佐藤央社長は事業を引き継ぐために活用するそうだ。
日刊工業新聞2014年02月26日 モノづくり面