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高まる低温物流への需要。陸送から空輸まできめ細かいサービス体制競う

食品だけでなく、医薬品や化学品にも対応
高まる低温物流への需要。陸送から空輸まできめ細かいサービス体制競う

冷蔵輸送用トラック

*センコー、3温度帯輸送を整備
 センコーは常温・冷蔵・冷凍による食品の3温度帯輸送の整備に取り組む。2018年以降に東京・大阪・名古屋・福岡などの都市圏を中心に3温度帯の物流センターを構築する。冷凍・冷蔵食品の消費拡大に伴い、輸送需要の伸びを見込む。15年度の食品輸送の売上高は630億円の見込みだが、早期に1000億円の達成を目指す。

 3温度帯センターは子会社のランテック(福岡市博多区)と共同で運営する。小売店向けの食品輸送体制を確立する計画。センコーが常温輸送を、ランテックが冷凍・冷蔵輸送を担当し、互いの得意分野を生かす。複数の小売店舗に共同配送サービスを行い、効率的な温度管理配送を提供する。

 センコーはランテックを14年に子会社化した。これにより従来は、一部地域のみで対応していた低温物流を全国で対応できるようになり、顧客の相互紹介などの相乗効果を生んでいる。

 愛知県の小牧地区ではセンコーとランテックの拠点が近いため、すでに連携して一括受託に取り組んでいる。その手法を応用して3温度帯物流センターを運営する。

 日本の14年の1人当たりの冷凍食品消費量は21・3キログラム(日本冷凍食品協会調べ)。女性の社会進出や多忙な人の増加、冷凍・冷蔵製品の味の向上などに伴い、消費量は拡大傾向にある。欧米に比べると消費量が少ないこともあり、センコーは市場成長の余地が大きいとみて同分野に注力していく。

日刊工業新聞2016年3月18日



ヨコレイ、道内最大級の低温物流基地に


 ヨコレイが北海道芽室町に建設していた低温物流施設「十勝第三物流センター=写真」が完成した。十勝地区で収穫されるジャガイモやタマネギなどの農産物の低温物流を手がける。隣接する二つの物流センターと合わせた収容能力は6万トンを超え、道内最大級の低温物流基地となる。町内には農産物の集荷・選別施設「十勝ソーティングスポット」も建設中。

 ヨコレイの吉川俊雄会長は19日の竣工(しゅんこう)式で、「十勝地区は年を追うごとに低温物流ニーズが高まっている。11月に竣工予定の十勝ソーティングスポットの完成と絡めた新しい事業展開も目指す」と語った。十勝第三物流センターは鉄筋コンクリート造り3階建て。冷蔵収容能力は2万1839トン。

日刊工業新聞2016年8月23日



ANA、28日から定温空輸サービス開始


全日本空輸(ANA)は、アイ・ティ・イー(東京都千代田区、パンガジ・クマール・ガルグ社長)が開発した保冷剤「アイスバッテリー」を利用した定温輸送サービスの販売を、28日の日本出発分から始める。

 同サービスは2度―8度C、マイナス20度―マイナス15度C、マイナス25度―マイナス20度Cの三つの温度帯で長時間の輸送ができる。2度―8度Cの場合で100時間以上、温度を保てる。物量に応じ、航空コンテナと2サイズの小型保冷ボックスの計3サイズに対応する。

 ANAが始める定温輸送サービスは「PRIO IB(プリオ アイビー) Fixed Temp.」。アイスバッテリーはドライアイスを使用しない保冷剤で、輸送中の電力供給も不要。外気温が30度C以上でも、庫内は指定温度で長時間、一定に保持することができる。

 ANAでは、これまで温度管理が困難で航空輸送ができなかったワクチンなどの医薬品や、フォトレジストなどの化学品などの貨物の拡大を目指す。

日刊工業新聞2016年9月26日

日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
常温・冷蔵・冷凍の3温度帯での輸送や保存に加え、冷凍の温度帯がさらに細かく設定されるようになってきています。こうしたきめ細やかさは、日本ならではのサービス。海外展開も進むでしょう。

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