アシアナ機事故、衝突2秒前に着陸復行を試みた形跡―運輸安全委員会が解析
衝突するまで急降下や急上昇の形跡は見られず。詳細判明には、しばらく時間
広島空港でアシアナ航空の旅客機が着陸に失敗した事故から、あすで1カ月。事故を調査する国土交通省の運輸安全委員会(JTSB)は5月13日、現時点で判明しているフライトレコーダー(DFDR)の解析結果を公表した。事故機がILS(計器着陸装置)のローカライザー・アンテナに衝突する約2秒前に、機長がゴーアラウンド(着陸復行)を試みた形跡がみられた。
事故は4月14日午後8時5分ごろ、AARのソウル発広島行きOZ162便(エアバスA320型機)が起こした。乗客73人と乗員8人の計81人は、全員が非常脱出用スライドで機外へ脱出。乗客25人と客室乗務員2人の計27人が軽傷を負った。
JTSBがDFDRを解析したところ、事故機が滑走路端から325メートル離れたところにあるローカライザー・アンテナに衝突する約2秒前に、エンジンの推力をコントロールする「スラストレバー」が、ゴーアラウンドするために推力を急上昇させる位置に動かされ、サイドスティック(操縦桿)は機首上げ操作をした記録が残っていた。
DFDRでは、衝突するまで急降下や急上昇の形跡は見られず、飛行高度や速度、エンジン推力などで機体の異常を示すものは現時点で見つかっていない。
一方、衝突の約1分15秒前に、操縦士がオートパイロット(自動操縦)から手動に切り替えた後、進入速度は安定していたものの、広島空港へ着陸時の標準的な降下経路と比べて飛行高度がやや下回りながら進入していた。その後、事故機は高さ6.4メートルのローカライザー・アンテナに衝突したとみられる。衝突後の記録は機体各部のセンサーが壊れたり、DFDRの電源が切れたことで、正しい値が記録されていなかった。
事故機は主翼と主脚、エンジン、水平尾翼、胴体後部下側などが損傷。左エンジンは最終的に地面に接したことで損傷が激しく、右エンジンにはローカライザー・アンテナのものとみられるオレンジ色の塗料が付着していた。左主脚にはローカライザーの部品が、右主脚はタイヤの真ん中にアンテナの配線がそれぞれ巻き付いていた。また、事故当時はローカライザー・アンテナから滑走路端までの間に、左水平尾翼や左エンジンカウルなどの一部が飛散していた。
JTSBによると、機体のどの部分から衝突したかや、エンジン内部がどの程度壊れたかなどの詳細については、調査にしばらく時間がかかるという。
機体の保全措置については、飛行システムの調査が終わった後に解除する見通し。事故機は現在、離発着する便に影響を及ぼさない広島空港内の場所へ移され、垂直尾翼やエンジンには白い布が掛けられている。
今後は実機の調査のほか、DFDRやボイスレコーダーに記録されたデータの照合や解析、機長や副操縦士、管制官らの証言との整合性の確認などを進めていく。
事故は4月14日午後8時5分ごろ、AARのソウル発広島行きOZ162便(エアバスA320型機)が起こした。乗客73人と乗員8人の計81人は、全員が非常脱出用スライドで機外へ脱出。乗客25人と客室乗務員2人の計27人が軽傷を負った。
JTSBがDFDRを解析したところ、事故機が滑走路端から325メートル離れたところにあるローカライザー・アンテナに衝突する約2秒前に、エンジンの推力をコントロールする「スラストレバー」が、ゴーアラウンドするために推力を急上昇させる位置に動かされ、サイドスティック(操縦桿)は機首上げ操作をした記録が残っていた。
DFDRでは、衝突するまで急降下や急上昇の形跡は見られず、飛行高度や速度、エンジン推力などで機体の異常を示すものは現時点で見つかっていない。
一方、衝突の約1分15秒前に、操縦士がオートパイロット(自動操縦)から手動に切り替えた後、進入速度は安定していたものの、広島空港へ着陸時の標準的な降下経路と比べて飛行高度がやや下回りながら進入していた。その後、事故機は高さ6.4メートルのローカライザー・アンテナに衝突したとみられる。衝突後の記録は機体各部のセンサーが壊れたり、DFDRの電源が切れたことで、正しい値が記録されていなかった。
事故機は主翼と主脚、エンジン、水平尾翼、胴体後部下側などが損傷。左エンジンは最終的に地面に接したことで損傷が激しく、右エンジンにはローカライザー・アンテナのものとみられるオレンジ色の塗料が付着していた。左主脚にはローカライザーの部品が、右主脚はタイヤの真ん中にアンテナの配線がそれぞれ巻き付いていた。また、事故当時はローカライザー・アンテナから滑走路端までの間に、左水平尾翼や左エンジンカウルなどの一部が飛散していた。
JTSBによると、機体のどの部分から衝突したかや、エンジン内部がどの程度壊れたかなどの詳細については、調査にしばらく時間がかかるという。
機体の保全措置については、飛行システムの調査が終わった後に解除する見通し。事故機は現在、離発着する便に影響を及ぼさない広島空港内の場所へ移され、垂直尾翼やエンジンには白い布が掛けられている。
今後は実機の調査のほか、DFDRやボイスレコーダーに記録されたデータの照合や解析、機長や副操縦士、管制官らの証言との整合性の確認などを進めていく。