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「レンズに合わせてカメラを買いたい」 スマホにないキヤノン・ミラーレスの魅力とは

マクロ撮影でライト内蔵を実現。手軽に味のある写真が仕上がる
「レンズに合わせてカメラを買いたい」 スマホにないキヤノン・ミラーレスの魅力とは

均一に光らせるため、複写機の導光技術を使った

 キヤノンのミラーレスカメラ向けマクロ撮影用交換レンズ「EF―M28mm F3・5 マクロ IS STM」が話題を呼んでいる。レンズに発光ダイオード(LED)ライトを内蔵し、点灯させると目玉のように見える特徴的な外観。交換レンズは、通常、保有するカメラに合わせて購入される。同レンズではこれが逆転し、「レンズに合わせてカメラを買いたい」という消費者もいるという。

 ライトの内蔵は、外観のためでなく、必然だった。市場にはデジタル一眼レフカメラ向けに、被写体から離して撮影する焦点距離の長いマクロレンズがある。

 だが、このタイプはサイズが大きく、手軽に使ってほしいミラーレスカメラには合わない。そこで、焦点距離の短いレンズを選択した。

 焦点距離の短いレンズでマクロ撮影するには被写体に接近するため、カメラが被写体に影を落とさないようにライトを内蔵した。「外付けライトも検討したが、LEDが安価になり、消費電力も少ないため内蔵することに決めた」(キヤノン担当者)。

複写機の導光技術も活用


 一眼レフカメラにマクロレンズを装着し、外付けライトを使って撮影するには、必要な機材を合計すると20万―30万円はかかる。さらにプロのテクニックも必要だ。ライトを内蔵した小型レンズは、4万5000円前後(消費税抜き)の価格で、手軽にマクロ撮影を楽しめる。左右のライトは片方ずつ点灯することもできる。被写体に陰影がついて、味のある写真に仕上がる。

 同レンズの開発には、他の部署の技術も活用した。一つのライトに使っているLED素子は一つで、「複写機の読み取り部分に使われている導光技術を使い、均一に光らせている」(同)。

 比較的に高画質な写真を撮影できるスマートフォンの普及により、カメラ市場は縮小された。これに対し、豊富な交換レンズの中から目的に合うものを選んで撮影した写真は、スマホには実現できない世界。カメラ復権の一助になれるか、注目される。
(文=梶原洵子)
日刊工業新聞2016年9月20日
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
複写機の技術も活用したというところなどはキヤノンの真骨頂。どこが次は撤退?とメディアはよく書くけど、カメラならでは良さをもっとメーカー同士が競い合って欲しい。

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