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注射嫌いの人には朗報!?北大発VBが採血なしで中性脂肪を測定する機器開発

メディカルフォトニクスが腕に光を照射し透過分析するサービス
 メディカルフォトニクス(札幌市北区、飯永一也社長)は、採血せずに血液中の中性脂肪を測定できる機器を開発した。人体に無害な近赤外光を照射し、体内を透過して出てきた光を分析することで、簡単に血液情報が得られる。血中脂質の増加は脳梗塞(こうそく)や心筋梗塞などの発症の可能性を高める。年内にも医療関係の研究者や食品メーカーに同機器を貸し出し、収集データを解析するサービスを始める。

 メディカルフォトニクスは北海道大学大学院情報科学研究科の清水孝一教授の研究成果を発展させて測定機器の技術開発に取り組んだ。生体内の光散乱理論を基に、腕などに近赤外光を当て体内透過光を分析。人体の散乱係数と吸収係数を同時に計測することで、血中脂質を測定する。収集したデータはパソコンやスマートフォンなどに転送できる。

 注射針を刺して採血する必要がなく、痛みを伴わないで検査できるため、健康管理がしやすくなり、無駄な投薬の削減につながることが期待される。

 今後、日本政策金融公庫国民生活事業北海道創業支援センターと北洋銀行の協調融資を活用し、機器の大きさを半分ほどに小型化する開発などを進める。同機器で2018年に医療機器の承認取得、20年に保険収載を目指し、将来的には一般家庭への普及も図る。

 同社は15年2月創業の北大発ベンチャー。飯永社長は「心筋梗塞は再発率が高い。手軽な測定手段を提供することで、少しでも発症を減らしたい」と話す。
日刊工業新聞2016年9月9日
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
健康診断で、血管が見つからないためか、なかなか採血ができない人を見かけたことがあります。注射嫌いな人にとっても採血なしで血中の成分を解析できる方法が出てきたことは朗報です。

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