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うつ病従業員の復職支援、中小企業向けプロジェクトチーム発足

国立精神・神経医療研究センターが社労士などと連携
 国立精神・神経医療研究センター(NCNP)は東京都社会保険労務士会やNTT東日本関東病院と共同で、うつ病にかかった中小企業の従業員の復職を支援する取り組みを始めた。社労士が支援を必要としている人を把握・紹介し、NCNPが復職に向けた治療や訓練を行う。産業医がいないなどの理由で社員の精神的な問題に対処しにくい中小企業の利用を見込む。

 NCNPの認知行動療法センターと東京都社会保険労務士会の武蔵野支部、NTT東日本関東病院で20人程度のプロジェクトチームを発足した。社労士が中小企業を訪問した際に休職者の存在を把握し、NCNPと情報共有する。

 NCNPは休職者本人や企業の合意を得た上で、心理療法の一種である認知行動療法を施す。NTT東日本関東病院は復職支援に深い知見を持つ秋山剛精神神経科部長が全体の枠組みなどについて助言をする。

 2015年12月に、従業員50人以上の事業所を対象に心理的な負荷の程度を把握するストレスチェックが義務化され、うつ病の防止につながることが期待されている。一方で社員数が少なく産業医もいない中小企業向け対策の必要性が指摘されてきた。NCNPは社労士が中小企業従業員の精神的な問題に接している事例が多いとみて提携を決めた。

 厚生労働省によると2008年時点のうつ病患者数は99年比2・4倍の104万人。うつ病治療は薬物療法で行われることが多いが、NCNPは患者のコミュニケーション能力の不足がもとで再発する事例が少なくないとみている。


日刊工業新聞2016年9月19日
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
うつ病の場合、家族に迷惑をかけたいくないという思いも働く。企業や別のサークルの中で治療も含めて対処していくことも重要だろう。

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