エリーパワー、仮想発電所の実証参加で蓄電池普及に追い風

太陽光のパワコンが寿命10年、買い換え需要が生まれる

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実証に活用するスマホ対応の蓄電池
 エリーパワー(東京都品川区、吉田博一社長)は、蓄電池を使った仮想発電所(バーチャルパワープラント)の実証事業を始めた。家庭やビルに点在する蓄電池を束ね、電力不足を解消したり、再生可能エネルギーの発電の変動を抑えたりする。仮想発電所は蓄電池の普及を後押しする可能性があり、大学発ベンチャーの同社に飛躍のチャンスが訪れようとしている。

 エリーパワーの実証は、経済産業省のバーチャルパワープラント構築実証事業に採択された。関西電力主体の事業に参加し、スマートフォンで操作できる最新機種10数台を実証に活用する。2017年1月からの実証運転に向け、エリーパワーの本社と川崎事業所(川崎市川崎区)、大阪市内の大和ハウス工業や竹中工務店の本社、兵庫県内の住宅など7カ所に設置する予定だ。

 実証は2月末までと短いため、今回は技術検証がメーンとなる。インターネット経由で指示した通りに充電と放電ができるかを確認する。

 最終的には蓄電池による、火力発電所の代替を狙う。電力が不足しそうになると、遠隔から家庭やビルの蓄電池を放電させて不足分を補う。太陽光や風力発電の発電量が急増すると充電を指示する。増えすぎた電力を蓄電池に吸収させて、電力の需給のバランスを保つ。

 エリーパワーの小田佳取締役は「経産省は20年までに5万キロワットの調整力を確保したいと言っている。当社は1社でもやれる」と自信をみせる。いち早く家庭などに設置する定置型蓄電池を商品化した同社は、市場に1万台以上を設置済み。「今でも束ねると数万キロワットを調整できる」という。

 仮想発電所は蓄電池市場を本格的に立ち上げる契機にもなる。蓄電池は現在、災害に備えた非常用電源や節電対策として使われている。仮想発電所も用途に加わると「付加価値になる」(小田佳取締役)。高額な蓄電池の活用メリットが増えて普及が後押しされ、コスト削減も進む好循環が期待できる。

 もう一つ、太陽光発電の完全自家消費も追い風だ。家庭用太陽光発電の買い取り制度で、発電しても自宅で使いきれない余剰電力の売電期間は10年。制度は09年に始まっており、19年以降に売電が終了する家庭が出てくる。その時、余剰電力も自宅で使うニーズが生まれ、日中に発電した電力を夜間に使うために蓄電池が必須となる。「確実に蓄電池が普及する」(同)と確信する。

 蓄電池の設置が増えると、仮想発電所に活用できる同社の蓄電池が増える。06年に慶応大学発の蓄電池メーカーとして設立した同社が、仮想発電所ビジネスのプラットフォーム(基盤)を握る可能性がありそうだ。
(文=松木喬)

日刊工業新聞2016年9月16日

COMMENT

松木喬
編集局第二産業部
編集委員

蓄電池は知名度ほど普及していません。「停電しても電気が使えます」と言っても、何日も続くような停電がいつ来るのでしょうか。いざという時の備えに100万円以上払っても、寿命が10年だったらどうでしょうか。利用用途・メリット・価値を増やさないと。余剰買い取りの終了後について補足すると、太陽光のパワコンが寿命10年。買い取り期間が終わるタイミングで、パワコン機能付蓄電池への買い換え需要が生まれる想定されます。

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