中国の自動車市場、成長鈍化で競争一段と厳しく。4月の新車販売は明暗

「10%の成長は見込めない。6―7%で持続が望ましい」(ゴーン社長)―。期待はSUVとエコカー

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ホンダのSUVコンセプトモデル(上海モーターショー)
 日系自動車メーカー7社の4月の中国新車販売は、トヨタ自動車とホンダとマツダが前年同月実績を上回ったが、日産自動車など4社が前年実績割れとなり明暗が分かれた。市場全体では2カ月ぶりの減少となり、市場拡大が鈍化する中で販売競争は激しさを増している。

 トヨタは主力「カローラ」「レビン」がけん引し前年同月比7・8%増だった。ホンダは主力SUV「CR―V」が販売減となったが、小型SUV「ヴェゼル」と「XR―V」の新車効果が販売を押し上げた。マツダも主力セダン「アクセラ」などが好調で、両社とも2ケタ増となった。マツダは4月単月として過去最高を記録した。

 一方、日産は「小型乗用車の販売競争の激化と、商用車の販売減が響いた」(広報)ことで同19・4%減となった。スズキは主力「アルト」の不振と「Sクロス」の新車効果が一巡し、同23・9%減の大幅減となった。中国自動車工業協会によれば4月の同国新車販売は前年同月比0・5%減の199万4500台となった。

 <中国市場は成長期から安定期に入った~ゴーン日産社長>
 日産自動車のカルロス・ゴーン社長兼最高経営責任者は先月の「上海国際モーターショー」で、「2015年の中国市場は6%の伸びを見込む。年10%の成長は見込めない」と述べ、市場の成長が安定期に入るとの認識を示した。中国での電気自動車(EV)の普及には「一層(政府による)奨励策が必要」との考えを示した。

 ゴーン社長は「中国市場が今後も6―7%で持続可能な成長をしてくれるのが望ましい」と述べた。14年の中国市場は前年比7%増の2350万台だった。13年は14%の高い伸びを示していた。日産は15年の中国の販売台数を130万台とする計画。中国で発売したEVについて「残念な販売成績だ。日産だけでなく各社同様。政府の支援策があるのに購入されない」と述べた。さらに日産としては「EVの車種を増やすことより既存の車種をいかに売る込むか課題だ」と述べ、車種拡大による普及には否定的な考えを示した。
 
 <成長が見込めるSUVとエコカーで火花> 
 日系メーカー各社は、「上海国際モーターショー」で成長が見込まれるスポーツ多目的車(SUV)や顧客の好みに合わせたモデルを相次いで出展した。環境規制の厳格化に応じて引き続きエコカーの訴求も活発だ。
 
 ホンダは新型SUVのコンセプトモデルを世界初公開した。主力SUV「CR―V」より一回り大きいサイズで、量産に向け開発中。倉石誠司中国本部長は「上質な走りと広々とした空間を提供するとともに先進技術を搭載した最上級モデルとして提供する」と強調した。スズキも量産を視野に入れた小型SUVのコンセプトモデルをアジア初披露した。

 政府が環境対応車の普及に力を入れる中、環境性能をアピールする出展も多く、ここでもSUVが目立つ。日産はSUV「ムラーノ」のHVを発表。中国では日産初のHVとして今夏発売する。三菱自動車はプラグインハイブリッド車(PHV)のコンセプトモデル2車種をアジア初披露。いずれも三菱自が注力するSUVだ。益子修会長は「PHVの実証試験を進めており、結果を踏まえて市場に投入する環境が整えば、PHVの販売を考えたい」とした。

 一方、トヨタ自動車は15年秋に発売する主力セダン「カローラ」と「レビン」のHVを公開。海外初となる江蘇省常熟市のHV開発拠点で現地スタッフが中心に開発した。応答性の高い加速を好む中国人の嗜好(しこう)に合う味付けをした。内山田竹志会長は「世界に先駆けてHV現地開発に挑む舞台として中国を選んだ。中国事業の理念を具体化した」と話す。

 日産も中国の若年層向けに現地スタッフが開発・デザインした中型セダン「ラニア」を披露。15年秋に発売する計画だ。

日刊工業新聞2015年05月13日 自動車面と04月21日1面&3面を加筆・修正

COMMENT

明豊
デジタルメディア局
局長

2014年の中国自動車販売台数は約2350万台(推計)。今年はこの台数がどのように推移するか。自動車販売の伸び率はGDPと近いところで推移するため、今後は5~10%の成長が妥当か。成長が鈍化する中で、勝ち組、負け組がはっきりしてくるだろう。新型投入に積極的なメーカーはシェアを伸ばしていく。設備の稼働率が上がり、原材料費の下落により自動車用部品のコストも下がり、完成車メーカーの利益率は改善する可能性もある。

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