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下町ボブスレーの部品製造、手作業にこだわり

サスペンション部品など担当。大肯精密の大崎和夫社長に聞く
下町ボブスレーの部品製造、手作業にこだわり

職人の技で大田区のモノづくりをアピール

 大肯(おおさき)精密は下町ボブスレーネットワークプロジェクト推進委員会で、サスペンション部分の部品など10点程度の加工を担当する。社内の職人が手作業で対応できるものを選んでいるという。職人技を世界にアピールしたいと意気込む大崎和夫社長に、プロジェクトについて聞いた。

 ―職人の手作業にこだわる理由は。

 「“下町”と銘打っている以上、古くからいる職人が活躍できる場にしたいからだ。納期的に難しいモノもあるが、町工場の技術をアピールするためにも、最後までこの点にはこだわりたい」

 ―本業に影響はありましたか。

 「名刺に『下町ボブスレー』のロゴが入っているだけで技術を信頼してもらえる。また商談や技術の説明の際も、やわらかい話題から入れる。営業トークとして活躍している」

 ―今後プロジェクトに必要だと思うものはありますか。

 「協力企業に対し、加工した部品がどこにどのように組み込まれてどのように役に立ったか、また改良が必要だったかというフィードバックの場が必要だと感じる。積極的な議論の場を設けてさらなる技術の向上につなげてほしい」

 ―平昌オリンピックにかける意気込みを教えてください。

 「世界に通用する大田区の技術を広めて加工の仕事を呼び込みたい。“ボブスレー=日本”と思われるくらいの意気込みで技術の向上に挑み、最後までやりとげたい」

安全な配管工事支える機器開発


 大肯精密はガスや水道の配管工事機器専門メーカー。商品点数は1万5000以上にも及ぶ。時には工法の提案も手がけ、安心安全な機械工具の開発で工事を支える。

 同社では独自のノウハウで電気を使った工事を可能にしている。本来、爆発や感電の恐れがあることから、配管工事と電気は相性が悪く使われない。またガスや水道を止めることなく工事できる製品や工法提案も同社の強みだ。

 2015年5月にはベトナムに事務所を開設。販売とともに現地を調査し、マレーシアやシンガポールなども含め海外市場の開拓に挑む。
日刊工業新聞2016年9月14日 中小企業・地域経済面
斉藤陽一
斉藤陽一 Saito Yoichi 編集局第一産業部 デスク
 工作機械の主流はNC機ですが、一品モノや小ロット品の製造では汎用機と、それを操る職人の「熟練の技」が活躍する出番が多いのも実情です。下町ボブスレーのプロジェクトで、あえて手作業にこだわる同社。大崎社長の職人を大切にする姿勢が感じられます。

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