スバル車の安全性と走りはどこまで進化するのか
<追記あり>「レガシィ」に運転支援システムの新機能追加
運転支援システム「アイサイト」の最新版を搭載したスポーツ多目的車(SUV)「レガシィ アウトバック」とセダン「同B4」を10月に発売する富士重工業。新「アイサイト」ではステアリングの自動制御で車線中央部の走行を維持する機能を付加。車線中央部の走行維持や車線逸脱防止機能の作動速度を従来の時速65キロメートル以上から、同60キロメートル以上に広げた。
富士重工業は今年1月に「アイサイト(ver2)」を搭載する車両の事故発生率の公表している。2010―14年度の同社の国内販売車において、アイサイトを搭載した車両は非搭載車に比べ事故が約6割減少していることが分かったという。
1万台当たりの事故発生件数は搭載車で61件、非搭載車で154件だった。自車が他車に追突した事故の減少率が84%と特に大きく、1万台当たりの事故件数は搭載車で9件、非搭載車で56件だった。もらい事故も含むが、アイサイト搭載によって事故を減らす一定の効果が出ている。
また今年4月には自動運転を含む運転支援システムの分野で日本IBMとの協業を発表。日本IBMのクラウドサービスや人工知能(AI)の知見を活用し、特に自動運転の研究開発を加速させるのが狙い。
協業の第1弾として、「アイサイト」で取得した各種走行データを、日本IBMと構築したシステムに集約し4月から運用を始めている。
富士重の開発者は従来よりデータの検索や解析がしやすくなり、自動運転の研究開発を効率化できる。今後は日本IBMが提供する自動車業界向けのモノのインターネット(IoT)ソリューションや、AI技術の知見を自社の自動運転技術に応用できるかを検証する考え。
富士重は2017年に自動車専用道路の同一車線上でレーンをキープする渋滞追従機能を、20年には高速道路における車線変更を含めた自動運転機能を採用する計画。アイサイトをベースにすることで、高度な自動運転機能を低価格で提供することを目指している。
スバル車は車両安定性を高める水平対向エンジンと、4WDの両技術をベースとした走りの良さが特徴で、走りにこだわる多くのドライバーの心をつかんだ。これに加え最近は「アイサイト」を搭載し”スバル車はぶつからない“というイメージを確立した。
そして満を持して13年ぶりに投入したのが新しいプラットフォーム(車台)「スバルグローバルプラットフォーム(SGP)」。
目指したのはドライバーの意思通りに忠実に動き、安全に走行できる車台だ。実現に向けてまずフレーム、サスペンションなど各パーツの剛性を現行車比で1・7―2倍に高めた。曲げやねじりなどの力に対して車体がゆがまないため、ドライバーが急にハンドルを切った時のタイヤの反応が速く、走行中に強風などの影響を受けてもぶれずにまっすぐ走行できる。
「テストコースで走行体験し、乗っていてわくわくした。本当にいい車を作ってくれているなと実感している」。吉永泰之社長は3月に開催したSGPの概要発表の場で、新型インプレッサに乗った感想をこう話し、出来栄えに自信をみせた。
9月1日からは初めてSGPを採用し全面改良して今秋発売する新型「インプレッサ」の先行予約を始めた。「アイサイト」も全車に搭載する。
アイサイトの進化とともにSGPは、こうしたスバル車の魅力を底上げするとともに、運転のしやすさや乗り心地のよさといった点に価値を見いだす、新たなユーザーを獲得する重要な切り札となる。
富士重は2017年に低速域で車線の中央走行を維持できる機能を、2020年には高速道路において自動で車線変更する機能を実用化する。20年の自動運転機能には運転支援システム「アイサイト」だけでなく、レーダーを採用する方針。
アイサイトをベースにし、コストを抑えながら高度な自動運転機能の実現を目指す。また、富士重は4月、日本IBMと運転支援システムの開発で提携。アイサイトの実験データをサーバに集約し、開発を効率化する体制を整えた。IBMは人工知能システム「ワトソン」を持っており、今後、両者がアイサイトの高度化などでどのようなシナジーを出していくのか注目される。
(日刊工業新聞第一産業部・下氏香菜子)
富士重工業は今年1月に「アイサイト(ver2)」を搭載する車両の事故発生率の公表している。2010―14年度の同社の国内販売車において、アイサイトを搭載した車両は非搭載車に比べ事故が約6割減少していることが分かったという。
1万台当たりの事故発生件数は搭載車で61件、非搭載車で154件だった。自車が他車に追突した事故の減少率が84%と特に大きく、1万台当たりの事故件数は搭載車で9件、非搭載車で56件だった。もらい事故も含むが、アイサイト搭載によって事故を減らす一定の効果が出ている。
また今年4月には自動運転を含む運転支援システムの分野で日本IBMとの協業を発表。日本IBMのクラウドサービスや人工知能(AI)の知見を活用し、特に自動運転の研究開発を加速させるのが狙い。
協業の第1弾として、「アイサイト」で取得した各種走行データを、日本IBMと構築したシステムに集約し4月から運用を始めている。
富士重の開発者は従来よりデータの検索や解析がしやすくなり、自動運転の研究開発を効率化できる。今後は日本IBMが提供する自動車業界向けのモノのインターネット(IoT)ソリューションや、AI技術の知見を自社の自動運転技術に応用できるかを検証する考え。
富士重は2017年に自動車専用道路の同一車線上でレーンをキープする渋滞追従機能を、20年には高速道路における車線変更を含めた自動運転機能を採用する計画。アイサイトをベースにすることで、高度な自動運転機能を低価格で提供することを目指している。
スバル車は車両安定性を高める水平対向エンジンと、4WDの両技術をベースとした走りの良さが特徴で、走りにこだわる多くのドライバーの心をつかんだ。これに加え最近は「アイサイト」を搭載し”スバル車はぶつからない“というイメージを確立した。
そして満を持して13年ぶりに投入したのが新しいプラットフォーム(車台)「スバルグローバルプラットフォーム(SGP)」。
目指したのはドライバーの意思通りに忠実に動き、安全に走行できる車台だ。実現に向けてまずフレーム、サスペンションなど各パーツの剛性を現行車比で1・7―2倍に高めた。曲げやねじりなどの力に対して車体がゆがまないため、ドライバーが急にハンドルを切った時のタイヤの反応が速く、走行中に強風などの影響を受けてもぶれずにまっすぐ走行できる。
「テストコースで走行体験し、乗っていてわくわくした。本当にいい車を作ってくれているなと実感している」。吉永泰之社長は3月に開催したSGPの概要発表の場で、新型インプレッサに乗った感想をこう話し、出来栄えに自信をみせた。
9月1日からは初めてSGPを採用し全面改良して今秋発売する新型「インプレッサ」の先行予約を始めた。「アイサイト」も全車に搭載する。
アイサイトの進化とともにSGPは、こうしたスバル車の魅力を底上げするとともに、運転のしやすさや乗り心地のよさといった点に価値を見いだす、新たなユーザーを獲得する重要な切り札となる。
記者ファシリテーターの見方
富士重は2017年に低速域で車線の中央走行を維持できる機能を、2020年には高速道路において自動で車線変更する機能を実用化する。20年の自動運転機能には運転支援システム「アイサイト」だけでなく、レーダーを採用する方針。
アイサイトをベースにし、コストを抑えながら高度な自動運転機能の実現を目指す。また、富士重は4月、日本IBMと運転支援システムの開発で提携。アイサイトの実験データをサーバに集約し、開発を効率化する体制を整えた。IBMは人工知能システム「ワトソン」を持っており、今後、両者がアイサイトの高度化などでどのようなシナジーを出していくのか注目される。
(日刊工業新聞第一産業部・下氏香菜子)