築地市場の豊洲移転で新たな問題発覚。そもそも汚染土壌の処理はどうやるの?
掘削除去以外にもある浄化方法
**大成建、スリット入り鋼管打設の工法開発
大成建設は地中の微生物を活性化して汚染土壌を浄化するバイオスパージング工法で、鋼管を打設してスパージング(吹き込み)井戸にする施工法「打ち込み式スパージング井戸」を開発、実用化した。
鋼管先端部に目詰まりしにくい特殊スリット(切れ込み)を入れ、目的の深さまで打設すれば微生物を活性化する空気と栄養塩液を注入できる。「ボーリング不要で従来型の井戸に比べ、設置時間を最大10分の1に短縮できる」(高畑陽土木技術研究所地盤・岩盤研究室地盤環境チームリーダー)という。
(特殊スリット加工した打設鋼管の先端部)
バイオスパージング工法はベンゼンやシアンなどに汚染された土壌を原位置(非掘削)で浄化する代表的な技術。土壌の汚染状況を調べ、地中での浸透範囲を考慮して3―6メートル程度の間隔でスパージング井戸を設置。空気と栄養塩液を注入して微生物の働きで浄化する。
注入成分および量の調整とともに、必要に応じて井戸を増設しながら浄化を進めていくのが一般的だ。従来の井戸は地面をボーリングしてから井戸を立て込むため、設置作業スピードは1日10メートル程度。それに対し、打設は「約30分で10メートル打ち込める」(同)としている。
鋼管は内径40ミリメートルのガス用規格品を利用。先端部のスリット加工は幅0・6ミリメートル、長さ62ミリメートルで、鉛直方向にちどり状になるように配置されている。目的の深さまで、ネジ加工した鋼管をつないで打ち込む。大成建が請け負った土壌浄化現場2件に適用し「目詰まりしにくく、長期的に安定して使用できることを確認した」(同)という。
(日刊工業新聞2012年10月4日)
国際環境ソリューションズ(東京都千代田区)は、油分解性に優れる4種類の微生物を使った土壌と地下水の浄化サービスを始める。
東京海洋大学大学院海洋科学技術研究科の今田千秋教授との共同研究によって開発した「バイオオーグメンテーション」と呼ばれる技術。
通常の掘削除去工事や従来の微生物製剤に比べて安価で、浄化工事全体で3―4割のコストダウンが可能としている。今後、油類やベンゼンで汚染された土壌の浄化対策工事で使うほか、海岸域など塩分濃度が高い土壌にも適用し、震災復興に貢献していく。
(日刊工業新聞2012年2月22日)
清水建設は汚染土壌に酸素の微細気泡を含んだ栄養塩液を注入し、好気性の土壌菌(土着微生物)を効率的に活性化する土壌浄化技術「バイオバブルクリーン工法」の浄化効果を確認した。
北海道内の顧客の事業所跡地に初適用。汚染地点の地下水には環境基準値の4・2倍に相当する1リットル当たり0・042ミリグラムのベンゼンが含まれていたが、2012年11月下旬から12日間の注入作業で検出限界値の同0・001ミリグラム未満と大幅に減少した。1年が経過して未検出となった。
微細気泡は直径100マイクロメートル(マイクロは100万分の1)以下の「ファインバブル」と言われる大きさだ。注入井戸から地下水飽和層(帯水層)の広範囲に浸透し、気泡は小径になるほど上昇速度が遅いため微生物が長期間活発に働く好気性環境が保たれる。今回は作業対象面積125平方メートルに井戸16本を設け、窒素とリンが入った栄養塩液を0・5メガパスカル以下の低圧で1日8時間注入した。
浄化した事業所跡地は土壌汚染対策法の対象外だが、同法では対策を講じた後、2年間のモニタリングが指定区域の解除要件とされていることもあり、効果を検証するため規定に準じた調査を実施。「1年間未検出が続いており、2年たって環境基準値を上回るようなことは考えにくい」(藤城春雄土壌環境事業部調査計画部計画グループ長)としている。
同工法は栄養塩液を空気とともに注入する一般的なバイオスパージング工法に比べ酸素供給量が約3・5倍になり、作業期間を4分の3程度に短縮できる。また、バイオスパージング工法は注入する空気量が多くなり、地表部に汚染物質の大気放散を防ぐガス回収設備が必要とされる。清水建ではこの設備分を含め、浄化コストを18%削減できると試算している。
(日刊工業新聞2013年12月26日)
大成建設は地中の微生物を活性化して汚染土壌を浄化するバイオスパージング工法で、鋼管を打設してスパージング(吹き込み)井戸にする施工法「打ち込み式スパージング井戸」を開発、実用化した。
鋼管先端部に目詰まりしにくい特殊スリット(切れ込み)を入れ、目的の深さまで打設すれば微生物を活性化する空気と栄養塩液を注入できる。「ボーリング不要で従来型の井戸に比べ、設置時間を最大10分の1に短縮できる」(高畑陽土木技術研究所地盤・岩盤研究室地盤環境チームリーダー)という。
(特殊スリット加工した打設鋼管の先端部)
バイオスパージング工法はベンゼンやシアンなどに汚染された土壌を原位置(非掘削)で浄化する代表的な技術。土壌の汚染状況を調べ、地中での浸透範囲を考慮して3―6メートル程度の間隔でスパージング井戸を設置。空気と栄養塩液を注入して微生物の働きで浄化する。
注入成分および量の調整とともに、必要に応じて井戸を増設しながら浄化を進めていくのが一般的だ。従来の井戸は地面をボーリングしてから井戸を立て込むため、設置作業スピードは1日10メートル程度。それに対し、打設は「約30分で10メートル打ち込める」(同)としている。
鋼管は内径40ミリメートルのガス用規格品を利用。先端部のスリット加工は幅0・6ミリメートル、長さ62ミリメートルで、鉛直方向にちどり状になるように配置されている。目的の深さまで、ネジ加工した鋼管をつないで打ち込む。大成建が請け負った土壌浄化現場2件に適用し「目詰まりしにくく、長期的に安定して使用できることを確認した」(同)という。
(日刊工業新聞2012年10月4日)
国際環境ソリューションズ、微生物で土壌・地下水浄化
国際環境ソリューションズ(東京都千代田区)は、油分解性に優れる4種類の微生物を使った土壌と地下水の浄化サービスを始める。
東京海洋大学大学院海洋科学技術研究科の今田千秋教授との共同研究によって開発した「バイオオーグメンテーション」と呼ばれる技術。
通常の掘削除去工事や従来の微生物製剤に比べて安価で、浄化工事全体で3―4割のコストダウンが可能としている。今後、油類やベンゼンで汚染された土壌の浄化対策工事で使うほか、海岸域など塩分濃度が高い土壌にも適用し、震災復興に貢献していく。
(日刊工業新聞2012年2月22日)
清水建、土着微生物を微細気泡で活性化
清水建設は汚染土壌に酸素の微細気泡を含んだ栄養塩液を注入し、好気性の土壌菌(土着微生物)を効率的に活性化する土壌浄化技術「バイオバブルクリーン工法」の浄化効果を確認した。
北海道内の顧客の事業所跡地に初適用。汚染地点の地下水には環境基準値の4・2倍に相当する1リットル当たり0・042ミリグラムのベンゼンが含まれていたが、2012年11月下旬から12日間の注入作業で検出限界値の同0・001ミリグラム未満と大幅に減少した。1年が経過して未検出となった。
微細気泡は直径100マイクロメートル(マイクロは100万分の1)以下の「ファインバブル」と言われる大きさだ。注入井戸から地下水飽和層(帯水層)の広範囲に浸透し、気泡は小径になるほど上昇速度が遅いため微生物が長期間活発に働く好気性環境が保たれる。今回は作業対象面積125平方メートルに井戸16本を設け、窒素とリンが入った栄養塩液を0・5メガパスカル以下の低圧で1日8時間注入した。
浄化した事業所跡地は土壌汚染対策法の対象外だが、同法では対策を講じた後、2年間のモニタリングが指定区域の解除要件とされていることもあり、効果を検証するため規定に準じた調査を実施。「1年間未検出が続いており、2年たって環境基準値を上回るようなことは考えにくい」(藤城春雄土壌環境事業部調査計画部計画グループ長)としている。
同工法は栄養塩液を空気とともに注入する一般的なバイオスパージング工法に比べ酸素供給量が約3・5倍になり、作業期間を4分の3程度に短縮できる。また、バイオスパージング工法は注入する空気量が多くなり、地表部に汚染物質の大気放散を防ぐガス回収設備が必要とされる。清水建ではこの設備分を含め、浄化コストを18%削減できると試算している。
(日刊工業新聞2013年12月26日)