「ホンダジェット」の作り方、教えます!

開発責任者の藤野道格氏が語る「クルマと航空機の融合」

  • 1
  • 0
ホンダジェットの生産がすすむ(米の組立工場)
 先日、日本に初飛来した「ホンダジェット」。創業者の本田宗一郎氏が夢に描いた航空機事業の参入が現実になろうとしている。米国当局から機体の認定が降り次第、顧客への納入を始める。機体開発を始めてから約30年、その機体には自動車メーカーとしてのモノづくりの強みが生かされている。

 例えば開発の効率化。車の方が航空機より商品サイクルが短く開発スピードも速い。内装のデザインではこのスピード感が役立った。開発責任者でホンダエアクラフトカンパニーの藤野道格社長は「迅速に試作する手法など航空機には十分に取り入れられていないものが多い。競合の2―3倍の回数の微調整ができて内装に優位性を出せた」と話す。

 ホンダジェットの量産が進む米ノースカロライナ州グリーンズボロの組立工場では、部品の納入経路を最適化したり、作業員が工具や部品を素早く手に取ったりできるよう工夫している。「競争力を上げるには組み立て時間の短縮は大きな要因。車づくりの文化がかなり役立っている」(藤野社長)という。

 自動車工場では定番のカイゼンが、他の航空機メーカーにはなかなか浸透しないそうだ。航空機メーカーが自動車生産の経験者を招き入れて工程を改良しようとしても、たいてい失敗するという。藤野社長は「本質を理解して融合しないとだめだ。形だけまねしてもできない」と指摘する。主翼上部にエンジンを配置するなど斬新なアイデアを生み出し形できたのも、「ホンダ文化の融合を大事にしてきた」(藤野社長)から。機体開発を長年けん引した姿勢は、車のノウハウを航空機につなげられた秘訣(ひけつ)だ。

 車から航空機への一方通行ではなく航空機から車への融合も考えている。モノコックボディー、車輪ロック防止装置(ABS)など歴史的に航空機から車に波及した要素技術は多い。これら要素技術の活用はもちろん「高級車のような少量生産の生産管理に航空機ノウハウが活用できる」と藤野社長。自動車と航空機体と航空機エンジンを生産する唯一のメーカーとして、ホンダのモノづくりは他にない優位性を生み出す可能性を秘める。

日刊工業新聞2014年12月25日 自動車面「挑戦する企業(ホンダ編)」を加筆・修正

COMMENT

明豊
執行役員 DX担当
デジタルメディア局長

リンクしたMRJの連載を見て頂ければいかに航空機の生産が大変かが分かりますね。

関連する記事はこちら

特集