ニュースイッチ

ハンドパワーです!複雑な手のリハビリ、ロボットで遠隔操作

エルエーピーが商品化へ。医療や在宅介護などを想定
ハンドパワーです!複雑な手のリハビリ、ロボットで遠隔操作

健常な手の動きを伝える機能も搭載し、19年度に商品化する(パワーアシストハンドの従来機)

 エルエーピー(神奈川県厚木市、北村正敏社長)は、手のリハビリテーション用ロボットに遠隔操作機能を加え効果を高めた「モーションリフレクト型パワーアシストハンド」を2019年度に商品化する。つまむ、つかむなど複雑な動きができるほか健常な手の動きをリハビリの動きとして伝えたりもできる。医療・介護施設だけでなく在宅介護向けでの展開も目指す。

 パワーアシストハンドの従来機は小型で扱いやすい半面、手を開く、握るといった単純な運動の繰り返しだけだった。モーションリフレクト型はチョキ、キツネなど8種の複雑な指の動きを行えるようにする。また、健常な手にセンサー付きグローブを装着すると、リハビリする手にそのまま動きを伝えられる。リハビリ効果がより高まることが期待できる。

 使い勝手も高める。タブレット端末にアプリケーションを入れることでアシストハンドの操作を行えるようにしたりリハビリの記録を残す、ゲーム性を加えるといったことも可能にする。

 価格も70万円程度に抑えた。在宅でも利用しやすいようにコンプレッサーや制御装置の小型化を進める。並行して実証実験なども実施し「医療機器の許認可も取得する」(北村社長)方針という。

従来機は10年に発売した。まひなどで手の動きが不自由な人を対象に空気袋の収縮膨張の力をグローブに伝え、手指関節の屈伸運動ができる。

日刊工業新聞2016年9月2日
石橋弘彰
石橋弘彰 Ishibashi Hiroaki 第一産業部
エルエーピーは、モノづくりとはあまり縁のない神奈川県厚木地区の経営者が集まり、大学や県の協力によって、ロボット技術を使ったアシストハンドを商品化した異色の企業だ。思いつきで始めたロボット事業がいまやロボット参入の良いモデルケースになっている。北村社長は「運の要素も大きかった」と謙遜するが、エルエーピーに参加したメンバーが持っていた人を結びつける力、長く続ける粘り強さ、うまく資金を調達する力が成功に導いたことは間違いない。起業家が学ぶべきところだろう。

編集部のおすすめ