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いびきを防ぐ使い捨て鼻腔挿入チューブ、筑波大と話題のベンチャーの連携から

「全自動洗濯物折り畳み機」のセブン・ドリーマーズ・ラボラトリーズ
いびきを防ぐ使い捨て鼻腔挿入チューブ、筑波大と話題のベンチャーの連携から

就寝時に鼻からチューブを挿入して気道を確保する(セブン・ドリーマーズ・ラボラトリーズ提供)

 鼻の穴から喉に向けて柔らかいチューブを挿入し、空気の通り道を確保することで、睡眠時のいびきや無呼吸を防止する―。

 セブン・ドリーマーズ・ラボラトリーズ(東京都港区、阪根信一社長)は、筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構の佐藤誠教授と共同で、こうしたいびき防止法に用いる使い捨て鼻腔(びこう)挿入チューブ「ナステント・クラシック」を開発。2014年7月に発売した。

 同社の阪根社長自身がいびきに悩んでいたことが開発のきっかけとなった。既存のいびき対策器具として、睡眠時にマスクを付けて気道に空気を送り込む「CPAP(経鼻持続陽圧呼吸)装置」やマウスピースがあったが、ともに日々の手入れが必要。CPAP装置の場合は持ち運びしにくい難点もあった。

 使い捨てコンタクトレンズのように手軽に使える器具を模索する中、自社で事業展開していた医療用カテーテルの応用を着想。就寝時にチューブを鼻から入れ、閉じた気道を広げる手法を考案した。同様の手法を研究していた筑波大の佐藤教授に共同開発を持ちかけ、連携が実現した。

 現在は医療機関や薬局での販売のほか、インターネット通信販売も展開。同社ヘルスケア事業部の平田裕美副事業部長は「今後は交通機関や運送事業者向けに、ドライバーの睡眠時無呼吸症候群(SAS)対策としてナステントの利用を提案していきたい」と語る。

成熟する家電市場に挑む


日刊工業新聞2015年12月11日



(阪根社長と開発した洗濯物折り畳み機「ランドロイド」)

 家電市場が成熟を迎え、テレビやエアコンのように生活を大きく変える新技術が生まれにくくなっている。だが、ロボット掃除機や油を使わない調理器など、日常生活の手間を省く家電製品は進化を続けている。そんな中、ベンチャー企業のセブン・ドリーマーズ・ラボラトリーズ(7D、東京都港区)は、ロボット技術を使った全自動洗濯物折り畳み機「ランドロイド」を2017年に発売する計画だ。自動化が難しいとされてきた分野だけに、家電市場にインパクトを与える可能性がある。阪根信一社長に聞いた。

 ―洗濯物折り畳みに着想したきっかけは。
 「10年前、妻が洗濯物を畳んでいるところを見て、折り畳み機があったら欲しいかと聞いたら、いま一番欲しいと言われた。そこでそういうロボットも良いなと考え、メンバーを呼んで実現に向けて動きだした」

 ―技術の肝は。
 「洗濯物の種類を認識するとき、ロボットは人間と違い一部を見て、『これはシャツ』と判断できないので一度広げる必要がある。だが、今の技術ではクシャクシャの洗濯物をうまく広げられない。我々は試行錯誤とアイデアで実現した。詳細は絶対に出せないが、大学教授やパートナーの技術者も、こんなやり方があるのかと納得している。一つ言えるのは、産業用ロボットを使うやり方ではできない」

 ―実用化に向けて、克服すべき課題は。
 「折り畳みについて必要な技術はそろっている。今後は製品の離陸へ動く。ここはエネルギーが要るので何があってもよいよう気を引き締める」

 ―研究の途中で止めようと思ったことは。
 「最初から自信はあった。研究を始めるとき周りから無理だ、完成しても売れないとかなり言われた。これだけ否定的に言われるということは、大企業で研究テーマになることは絶対にないと逆に好感触を得た。ただ、5年ほどで製品にできるだろうという見通しが10年かかってしまった」
【略歴】
 阪根信一(さかね・しんいち)99年(平11)米デラウエア大化学・生物化学部博士課程修了。00年実父が創業者のアイ.エス.テイに取締役本部長として入社、03年から10年までCEO。08年スーパーレジン工業社長、14年試薬工場としては滋賀県甲賀市に続く拠点で、自動化できない少量多品種の生産を受け持っている。社長。兵庫県出身、44歳。

 
日刊工業新聞2016年9月1日
明豊
明豊 Ake Yutaka 執行役員デジタルメディア事業担当 DX統括
セブン・ドリーマーズ・ラボラトリーズはパナソニックと合弁会社を設立するなど、ベンチャーと大手企業、ベンチャーと大学の連携が進んでいる好例。ぜひ全自動洗濯物折り畳み機で成果を出して欲しい。

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