日揮の医薬向けプラントの中国展開は成功するか。日本で培ったノウハウ注ぎ込む

上海に新会社、日欧米の製薬会社へ営業

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 日揮は中国で医薬分野からの受注拡大に向けた営業体制を構築する。新会社を上海市内に設立し、製薬会社への営業活動を始める。受注や工事の進捗(しんちょく)が投資動向の影響を受けやすい資源開発のプロジェクトに比べて、医薬分野ではコンスタントな投資が見込めるため、日系の製薬会社などからの受注を狙う。将来的には施設の設計・調達・建設(EPC)業務への対応も視野に入れる。

 日揮は現地に全額出資の子会社を設けて、技術系の担当者が2人常駐して営業を進める。医薬分野のエンジニアリングを強化する上で、海外展開を重視しており、日系や欧米の製薬会社からの受注を積み上げることを目指している。新会社を設立するのもその一環で、現地に進出している製薬会社などへの営業体制を整備して受注に結びつける。案件の状況やニーズを踏まえて、日本からも支援する考え。

 これまで医薬分野では国内の案件が中心だったという。無菌環境が求められる施設の整備や、医薬品の製造工程で材料となる物質が飛散するのを防ぐ「封じ込め」技術に強みを持つ。化学プラントなどの建設で培った技術やノウハウも活用することで、EPC業務に取り組む体制づくりも見据える。

 日揮は2016年度から5カ年の中期経営計画に、医薬分野の事業規模の拡大を盛り込んでいる。高度な先端医療に対応する技術力を高めるのに加え、病院運営への投資を進める方針。

案件獲得は3パターンの戦略で


 日揮は医薬・医療分野で、再生医療と後発薬への対応、海外展開を重視している。再生医療では、技術開発が進み始めた2000年代初頭から、施設の受注を積み重ねている。穴田信二第3事業本部技術理事副本部長は「(再生医療に関連する)医薬品の量産に向けた設備の需要を見込める」と今後の案件拡大に期待を寄せる。こうした施設の前提となる無菌環境のノウハウを持つことが、受注へのアドバンテージだ。

 後発薬の浸透に伴う製薬会社の積極的な投資の取り込みも虎視眈々(たんたん)と狙っている。後発薬により価格が抑えられる一方、製薬会社はコスト低減も迫られる。「生産性向上がメーカーの合言葉で、効率の良い設備の構築を求めてくる」(穴田技術理事副本部長)という。エンジニアリング能力を生かし、メーカーの要求に応えていく。

 海外展開では案件の獲得に3パターンの戦略を描く。日系の製薬会社による海外展開への対応に加え、欧米メーカーの日本国内での案件を受注することも狙う。外資系にとって、日本は大きな医薬市場という。

 さらに外資系による海外案件の獲得も重視する。4月から始まった中期経営計画でも海外事業の拡大がテーマの一つで、嘉堂亮一理事は「海外展開は避けて通れない」と強調する。海外のエンジニアリング会社との協業も視野に入れながら、収益基盤の拡充を目指す。
(文=孝志勇輔)

日刊工業新聞2016年8月26日

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長塚崇寛
名古屋支社編集部
編集委員

コンスタントな投資が見込める医療プラント市場。高度な技術力も必要なことから参入障壁も高い。国内で実績を積み上げてきた日揮だが、さらなる事業拡大を目論み、海外展開を狙う。

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