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脳卒中の治療に応用できるか。脳内免疫細胞の働きが明らかに

「ミクログリア」が発達期の脳神経回路を形成。生理学研がマウスで解明
脳卒中の治療に応用できるか。脳内免疫細胞の働きが明らかに

生きたマウスの脳を二光子顕微鏡で観察(自然科学研究機構提供)

 自然科学研究機構生理学研究所の鍋倉淳一教授のグループは、脳内免疫細胞のミクログリアが、発達期のマウスの脳で神経回路を形成する役割を担っていることを明らかにした。ミクログリアを除去した遺伝子改変マウスや、薬剤によってミクログリアの機能を阻害したマウスでは、シグナル伝達に関わる接合部位「シナプス」の数が減少。成熟後も正常な神経回路が形成されず、発達期の脳内免疫状態が神経回路の正常発達に影響を与えることを突き止めた。

 ミクログリアは脳内の免疫機能を担当する唯一の細胞。研究では生後8―10日の発達期のマウスを用いて実験を行った。

 生きた動物の脳内細胞を観察できる二光子顕微鏡を使って観察したところ、ミクログリアが神経細胞に接触し、神経細胞間のつなぎ目であるシナプスの生成を促して大脳皮質の脳回路を形成する役割を担っていることを確認した。また成熟した後も、大脳皮質の情報伝達機能の構築に関係することが分かった。

 ミクログリアは、脳卒中などの障害で死滅した細胞を除去する働きや、シナプスに接触して機能が正常に働くかチェックする働きを持つことが知られている。
日刊工業新聞2016年8月26日
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
大脳皮質の情報伝達機能の構築に関係することが分かったとのこと。今後、医療への応用が期待されます。

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