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DeNA・守安社長「対話型AI、まずはヘルスケアと自動車で実装を進めたい」

PNFとの合弁の狙いを聞く
 ディー・エヌ・エー(DeNA)は人工知能(AI)の活用で再成長の糸口をつかむ。7月、AIベンチャー企業のプリファード・ネットワークス(PFN、東京都千代田区)と合弁会社PFDeNA(ピー・エフ・ディー・エヌ・エー)設立し本格的なAI研究開発に乗り出した。自ら同社社長に就任したDeNAの守安功社長にAI戦略を聞いた。

 ―なぜAIを手がけるのでしょうか。
 「私が1999年にDeNAに入社した頃インターネットに感じていた事と同じ感覚をAIに持っている。当時はネットを使い『何ができるか』を皆模索していたが、いまはネットビジネスは当たり前のものだ。AIはもっと早くネットと同じようになるかも知れない。AIが起こす革新に対応し、事業のギアを上げるとともにAIのトップランナーを目指したい」

 「AIブームと言っても産業利用はまだ入り口。各社同一線上に並んでいる。AI関連で高い技術力を持つPFNと組んでAIを使いこなす力を高め、幅広い分野に応用すれば、AIサービスの提供事業者として存在感を出せる。新たなビジネス領域も開拓したい」

 ―PFNと共同で設立したPFDeNAの位置づけは。
 「DeNA、PFN双方から技術者を出して協業する場の一つとなる。PFDeNAで働いてもうけるのではなく、両社が力を出し合いAIをビジネスに実装できれば良い。両社はすでにユーザーとチャットで会話する対話型AIを作り一定の実績を得ている。こうした精度の高い応答力をカスタマーサービスで生かすなど、まずはDeNAの事業領域のゲーム、コマース、ヘルスケア、エンターテインメント、自動車、ライフスタイルにAIを組み込む。その後、適用事例を外部に提供していく」

 ―活用の具体策は。
 「企業秘密なのであまり言えないが、アイデアは多い。まずはヘルスケアと自動車で、どのテーマを進めるか探っているところだ。時間との勝負なので早く実装まで進めたい。DeNAは実装を通じてAIシステムを使いこなす力を高める。そのため社内のAI技術者をいまの数人から数十人に増やす予定だ。社内にはAIに携わった経験者が多くいるため、そうした人材を活用する」

 ―AIが切り拓く新領域はどんなものですか。
 「これもあまり言えない。AIの力が生きる分野は農業、工作機械、小売りなどさまざまだ。ただ、PFNは物流現場のピッキング作業や工場の自動化に取り組んでいる。DeNAは通信販売を手がけるし自動運転車による配送サービスにも着手する。ネットとAIで通信販売に関わる仕組み全体をより効率化する、といった取り組みは面白いかもしれない。AIでの協業はPFNだけとは思わない。いろいろな企業との連携も視野に入れる」

(「モバゲー」内で「対話型AI」を試験的に導入)

【記者の目・協業でどんな革新生むか】
 守安社長はPFNについて「高い技術力はもちろん『世の役に立とう』という思いと社会実装の具体的なアイデアを持っている」と評する。世界でも屈指のAIベンチャーとの協業は楽しみの方が多いだろう。AIとの相性が良さそうな6事業を持つDeNAとPFNの技術力がどんな革新を生むのか。できるだけ早くみせてもらいたい。
(聞き手=石橋弘彰)
日刊工業新聞2016年8月26日
石橋弘彰
石橋弘彰 Ishibashi Hiroaki 第一産業部
DeNAはプロ野球の球団を持つ。観客動員数のさらなる向上や、選手の強化に人工知能を使うと面白いだろう。任天堂とのコラボでも人工知能を生かした成果が出てくるかもしれない。今後に注目したい。

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