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IHI、エアバス向け航空エンジン部品の生産倍増へ

「A320ネオ」CFRP製の構造案内翼
IHI、エアバス向け航空エンジン部品の生産倍増へ

最新小型機「A320neo」

 IHIは航空機エンジン部品を生産する相馬第一工場(福島県相馬市)内の新加工棟を12月に稼働する。相馬事業所で5番目の建屋となり、欧エアバスの「A320ネオ」に搭載される「PW1100G―JM」エンジン用部品を生産。新棟の完成で2018年度に、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)製の構造案内翼(SGV)の月産能力を、現状比2倍の60台に引き上げる。

 新加工棟は15年10月に着工、このほど完成した。延べ床面積は6394平方メートル、建築面積は5105平方メートル。投資額は明らかにしていないが、同事業が属する航空宇宙事業本部では、年間100億円規模の投資を今後3年程度続ける計画だ。

 IHIは15年度から1100G―JM量産モジュールの出荷を始めた。SGVは相馬第一工場の既存加工棟で、CFRPから一貫生産するラインを構築し量産対応している。

 同エンジンは民間旅客機の中で、最も需要の高い単通路型機であるA320ネオに搭載され、急激な台数増加が予想される。第5加工棟の稼働により、エンジン増産に着実に対応していく。
日刊工業新聞2016年8月22日
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役ブランドコミュニケーション担当
年間1000機受注すれば当たり年とされる中、エアバスは11年以降、12年を除いて1000機以上を受注。14年の1796機は過去最高となるなど、記録的な好況に沸いた。中国、東南アジアの経済成長、格安航空会社(LCC)の台頭が大きい。受注残は5月末時点で6759機に積み上がった。現在の生産能力では作り終えるのに10年以上かかる。受注残の8割を占めるA320系の月産能力を、現在の42機から19年に60機に増やす計画。ただし足元では受注減が鮮明になってきている。背景には、原油安によって航空会社が既存機の「延命」を図っていることもあるが、ボーイング、エアバスが受注を先食いし過ぎたという見方もある。航空機サプライヤーも当分は、生産増強に動くことになるが長期的に変化をどう感じとっていくか。

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