ロボットに職が奪われる? 金融・小売り業で進むデジタルレイバーとは何か

ホワイトカラーの単純作業を代行、従業者とは共存も

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大手コンサルティング会社や金融機関、大学などが結集
**日本RPA協会発起人 RPAテクノロジーズ社長・大角暢之氏に聞く
 ホワイトカラーを単純作業から解放―。営業や経理など各種業務内の単純作業を一手に引き受ける仮想ロボット「デジタルレイバー」と人間が共存する社会を目指し関連するソフトウエア、システム構築、ユーザーなどが集まる「日本RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)協会」が7月に発足した。発起人の大角暢之RPAテクノロジーズ社長に協会の役割や方向性を聞いた。


―協会設立の狙いは。

「欧米ではRPAが目を引く言葉(バズワード)で注目される。だが、欧米流はシステム主導で自動化する向きが強く、日本に合わない。元々日本は工場で産業用ロボットを使いうまく自動化できていた。その仕組みをホワイトカラー業務に持ち込み、人と仮想ロボットが共存する日本的な仕組みを磨き上げ、普及させようと大学を含む13のメンバーが集まった」

―日本版RPAができることは。

「国内で約4000のデジタルレイバーが活躍している。自動演奏のピアノのように人が一度行った作業を繰り返すことと、膨大な量を一気に処理するのが得意だ。交通費精算やシステムログイン、データ登録など単純なものや顧客や契約を管理する、人工知能(AI)を使い需要を予測して商品の発注をかけるといったマネージャークラスの仕事もできる。ユーザーは主に金融や小売りが多い」

―人と共存するという意味は。

「単純作業は仮想ロボットに任せてより高度な仕事を人が行うことを想定している。それと、工場と一緒で、人、工場自動化(FA)システム、機械が調和した3層構造をホワイトカラー業務にも導入するということだ」

―協会の活動は。

「デジタルレイバーの制作、運用など多くの企業が関わるので、関係する事柄の標準化推進は必要になる。行政や米国のRPA関連協会とも情報交換などで連携しながら進めたい。また、講習会開催など周知徹底、若手人材の育成、成功事例集の発刊も行う。労働人口が減る中で業務の効率化は必須なため協会に加わるメンバーはおのずと増えるだろう。企業ごとの取り組みをうまくまとめ、RPA市場の健全な成長と普及につなげる」
(聞き手、文=石橋弘彰)

ロボット・AIでホワイトカラー業務を自動化−日本RPA協会発足、労働力移動で就業構造の転換促す


 ロボット・人工知能(AI)技術でホワイトカラー業務の自動化を推進し、労働力の移動を通じ就業構造の転換を促す―。RPAテクノロジーズ(東京都港区、大角暢之社長、03・3560・6533)が発起人となり、大手コンサルティング会社や金融機関、大学などが会員の「日本RPA協会」が20日発足した(写真)。少子高齢化に伴う労働生産人口の減少に直面する中、先端的な解決策として注目を集めそうだ。

 RPAはロボティック・プロセス・オートメーションの略。これまで人間だけが対応できると想定されてきた作業を、AIや機械学習などの認知技術に置き換え、新しい労働力を創出する仕組み。2025年までに世界で1億人以上の知的労働者が置き換わるとの見方がある。

 同協会は今後、RPAに関する情報収集や人材育成、講習会などを通じて認知度を高めていく。

 KPMGコンサルティング、アビームコンサルティングが専務理事を務める。慶応義塾大学大学院経営管理研究科や三菱東京UFJ銀行、SBIトレードウィンテック、パソナなどが会員となっており、今後は府省庁との連携も進める。

日刊工業新聞2016年8月19日 ロボット/2016年7月21日 総合2面

COMMENT

宮里秀司
編集局経済部
編集委員

日本の製造現場では人とFAシステム、機械が有機的に動くことによって生産性向上が図られてきました。これを事務作業などホワイトカラーの職場にも応用することは、人材不足が叫ばれる昨今の日本企業において必然的な流れといえるでしょう。

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