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オリンピックでの夜更かし疲れに効く!?解明されつつある時差ぼけからの回復法

甘酒や納豆に効果あり。生体リズムを調整
 KRI(京都市下京区、住友宏社長)は、甘酒や納豆などに“時差ぼけ”改善効果があることを見つけた。生体リズムの調整を制御する核内受容体「REV―ERBα」に作用する物質(リガンド)の簡易評価手法を確立して検証した。時差ぼけ改善に効果ある食品の探索などに活用できる手法として、受託評価を始める。

 KRIはリガンドがあれば蛍光物質を生成する酵母細胞を開発。サンプルを添加して一晩経過後の発光量からリガンドの強さを評価する手法を構築した。一般的な評価法に比べて、短時間かつ低コストに評価できるという。

 この評価法を用いて身近な食品を試したところ甘酒や納豆といった発酵食品に、REV―ERBαのリガンドが存在することが分かった。食品、天然物、化合物などを評価することで、航空機の機内食検討やサプリメントの開発などに応用できるとみている。

 人間は約24時間周期の“体内時計”を備える。夜更かしや航空機での長距離移動などによる周期変調は健康に影響し、能率低下にもつながる。REV―ERBは生体リズムに影響する“時計遺伝子”を制御する役割を持っているとされる。

 KRIは機能が分かっている24の核内受容体のうち、脂肪代謝を制御する「PPAR」に作用するリガンドの評価手法を実用化している。

今後、他の核内受容体でも各種素材の評価法確立を狙う。食品の持つ健康増進効果を研究するとともに、評価を通じて機能性食品の開発や創薬への展開も見据える。

脳神経細胞14個に時計リセット機能


日刊工業新聞2015年5月14日


 岡山大学大学院自然科学研究科の吉井大志准教授らの研究グループは、海外旅行や夜間の交代勤務などで発生する“時差ぼけ”から回復する仕組みをモデル生物のキイロショウジョウバエの実験で明らかにした。脳の神経細胞の中で“体内時計”を構成する「時計細胞」を解析。その中で光に強く反応する14個の時計細胞が他の時計細胞の時計をリセットすることで、すばやく新しい光環境に同調することを突きとめた。

 キイロショウジョウバエとヒトの体内時計の仕組みは似ており、研究成果をヒトに応用することで時差ぼけ抑制法の開発につながる。

体内時計の正確なリズムを形成するたんぱく質特定


日刊工業新聞2011年5月25日


 京都大学の岡村均教授らは、全身の細胞にある多くの体内時計を統括する「スーパー時計」が正確にリズムを形成するためにカギとなる、早朝に発現するたんぱく質を突き止めた。時差ぼけや睡眠障害の新薬開発につながる可能性がある成果。英オンライン科学誌ネイチャー・コミュニケーションズに25日発表する。

 スーパー時計は脳内にあり、安定したリズム信号を発している。これが全身にある末梢組織の体内時計を調整し、全体の生体リズムを決めている。今回、マウスの実験で、脳内にあるRGS16と呼ばれるたんぱく質が早朝だけ活性化し、この活性化を起点にスーパー時計のリズムが24時間周期にリセットされることを発見。RGS16を働かなくさせたマウスはスーパー時計のリズムが乱れ、日を追うごとに朝寝坊になった。

 岡村教授は「いままではスーパー時計の“親玉細胞”のところに外から覚醒物質がやってきて活性化すると考えられてきたが、実は“親玉細胞”自身がRGS16という特殊な覚醒物質をつくることが分かった」と話した。

※内容、肩書きは当時のもの


日刊工業新聞2015年10月21日
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
建設や警備、医療・介護など深夜労働が多い業種で体内時計を調整する方法が取り入れられれば、従業者の健康管理にも一役買うのではないでしょうか。

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