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《明治期の灯台#04》部埼灯台、いまだ現役の回転レンズ

 1日当たり500隻以上の船が出入りする関門海峡。古くは壇の浦の戦い、幕末には長州藩と英仏など列強4国による下関戦争が行われるなど歴史をにぎわせた地だ。

 部埼(へさき)灯台は九州側の北九州市門司区、同海峡東口標点にある。1867年(慶応3)に幕府が英国公使との間で、兵庫開港に備えて約定した5灯台の1基。英国人技師が設計し、1872年(明5)に初点灯した。日本で15番目に建設され、九州に現存する最古の洋式灯台だ。1895年に採用されたフランス製回転式レンズはまだ現役で使われている。

 灯台下の海岸には、たいまつを掲げた僧・清虚(せいきょ)像が立つ。幕末の13年間、雨の日も風の日も海ゆく人の命を守り続けて火をともし続けた清虚の姿は、今も関門航路の安全を見守っている。
(写真・文=北九州支局長・大神浩二)
日刊工業新聞2016年8月17日
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
カメラにこだわりのある支局長が撮りました。

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