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JAXA、人工衛星やロケットの残骸“宇宙ゴミ”掃除の準備着々

専用衛星で地球に誘導落下実験へ
JAXA、人工衛星やロケットの残骸“宇宙ゴミ”掃除の準備着々

デブリ除去衛星を宇宙ゴミに取り付けた後、地球の大気圏に突入させ燃え尽きさせるイメージ(JAXA提供)

 低コストのロケットの打ち上げや人工衛星の軌道投入など各国の宇宙開発熱が高まる中、大きな脅威となっている物体がある。打ち上げロケットや衛星の残骸として地球の衛星軌道上に残されたスペースデブリ(宇宙ゴミ)だ。宇宙航空研究開発機構(JAXA)では宇宙ゴミを取り除く手法の開発が進行中。その第一歩として10月以降に国際宇宙ステーション(ISS)に打ち上げられる国産物資補給船「こうのとり」を利用した実証実験の準備を進めている。

 ロケットの上段や運用を終えた人工衛星は宇宙ゴミとして宇宙空間を漂い、特に地球の上空1000キロメートル付近には、マイクロメートル(マイクロは100万分の1)レベルからメートルレベルの大きさの宇宙ゴミが散らばっている。宇宙ゴミは地球を一定の速度で回っており、他の人工衛星に衝突し、破壊するなど宇宙開発に悪影響を与える。

 そのためJAXA研究開発部門は宇宙ゴミ処理の新技術を開発している。約10キロメートルの長さの導電性のワイヤを宇宙ゴミに取り付け、伸ばしたワイヤの先に「デブリ除去衛星」を設置する。同衛星に設置した電子源が電子を宇宙空間に放出すると、宇宙空間に漂うプラズマ中の電子がワイヤに取り込まれ、ワイヤに電流が流れる。

 さらに上空での地磁気の影響も合わせ、磁場中で電流が流れることで力が働く「フレミングの左手の法則」により、宇宙ゴミの進行方向と逆向きの力が作用する。宇宙ゴミは次第に高度が下がり、地球の大気圏に突入し、燃え尽きる仕組みだ。

(実用化に向け、こうのとりを利用し要素技術の実証実験を行う=JAXA提供)

2020年に「こうのとり」で実験


 JAXAはこうした技術の実用化に向けた要素技術の実証実験を、こうのとり6号機を使い実施する。補給物資を届け終わった同6号機から、先端に「エンドマス」と呼ばれる円筒形の装置が付いた700メートルの導電性ワイヤを伸ばし、同6号機にある電子源から電子を放出することで電流を流す実験を行う。

 ミッションはISS軌道から20キロメートル低い、地上からの高度300キロ―400キロメートルで約7日間行う。

 プロジェクトの実施責任者である井上浩一JAXA研究開発部門HTV搭載導電性テザー実証実験推進チーム長は「宇宙ゴミに接近してワイヤを取り付ける技術など他の課題も解決したい。2020年頃に宇宙ゴミの地球への突入実験の実施を目指す」としている。
(文=冨井哲雄)
日刊工業新聞2016年8月17日
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役ブランドコミュニケーション担当
宇宙ゴミを取り除く計画は川重はJAXAが共同計画を進めているほか、ベンチャーも参入するところが出始めており期待。

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