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プロカメラ市場、キヤノン・ニコンの対決に富士フイルムが参戦

東京五輪で表彰台の一番上に立つのは?
プロカメラ市場、キヤノン・ニコンの対決に富士フイルムが参戦

富士フイルムが開発した「X―T2」

 プロ用カメラ市場では従来のキヤノンニコンによる一眼レフカメラの対決に、新顔のミラーレスが割り込もうとしている。4年後の東京五輪・パラリンピックへのカウントダウンが始まり、カメラ各社による“メダル争い”も活発化してきた。

 陸上競技場などのカメラマン席を見ると、白や黒のレンズを装着したカメラを持つ人がずらりと並ぶ。白がキヤノン製、黒がニコン製であり、どちらのカメラとレンズがプロに支持されているか一目瞭然だ。関係者の間では“白黒対決”とも呼ばれる。「一般消費者への販売で一定の規模を取るにはプロに使ってもらい、ブランド力を高めることが大事になる」(キヤノン広報担当者)という。

 こうした中、2社のオリンピック対決に、新たに富士フイルムがミラーレスカメラの旗艦モデル「X―T2」で参入を狙う。9月発売のためリオ五輪には間に合わず、発売前に試用した数人のカメラマンが現地に持ち込むだけだが「東京五輪では多く(のカメラマンに)利用されるように取り組む」(高橋通取締役常務執行役員)と意気込む。

ミラーレスの弱点を補強


 現在、五輪の写真用カメラとしてキヤノンとニコンが主に使われるのは、両社がデジタル一眼レフカメラで高いシェアを持つためだ。一眼レフに対し、ミラーレスカメラはシャッターを切る時にファインダーから像が消えるブラックアウトが生じるため、スポーツなど速く動く被写体の撮影に弱く、スポーツの撮影に向かなかった。だが富士フイルムはX―T2で、ブラックアウト時間を1秒当たり0・4秒(毎秒3回連続撮影時)に短縮し弱点を補強。軽量さを訴求し、一眼レフに対抗する。

 一方、キヤノンとニコンはリオ五輪に多くのカメラやレンズ、そしてスタッフを送り込み、プロカメラマンへ万全のサポート体制を整え牙城を死守する。

 特にキヤノンはスタッフ70―80人が現地に入り、カメラを800―900台、レンズを1300―1600本持ち込んだ。最高峰の「EOS―1D XマークII」をはじめ、「同5D」シリーズ、高速連写に適した「同7D」シリーズを紹介し、カメラマンに導入を喚起する。ニコンは153点のフォーカスポイントにより、動く被写体をとらえやすくした「D5」を3月に発売。オリンピックでも訴求している。

 リオ五輪ではアスリートが活躍する瞬間をとらえるため、最高峰の画像技術が集まっている。今後は東京五輪に向けて競争が激化することは間違いなく、さらなる進化が期待される。
(文=梶原洵子)
日刊工業新聞2016年8月16日
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役ブランドコミュニケーション担当
東芝の医療子会社はキヤノンが買収したが、富士フイルムは五輪のカメラで一矢を報いるか。

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