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《明治期の灯台#03》尻屋崎灯台、極寒耐え白亜に輝く

 盛夏を迎えた下北半島最北東端の岬、尻屋崎(青森県東通村)。140年もの間、東北の厳しい寒さを耐え抜いて白亜に輝く「尻屋崎灯台」が凜(りん)とたたずむ。

 尻屋崎沖は日本海と太平洋が交わる潮目で潮位差が45センチメートルと潮流渦巻く船の墓場と恐れられてきた。1876年(明9)、尻屋崎灯台は東北では最も古い洋式灯台として10月20日に点灯を開始した。

 二重れんが壁の複層構造で高さ33メートルと、現存するれんが造り灯台として日本一の高さを誇る。光度もまた国内最大級の53万カンデラを誇る。

 太平洋戦争末期には約21メートルより上の部分のれんがが被災したが、1950年(昭25)1月に、被災部分をコンクリート造・石造で再建した。現在は耐震補強がされており、厳しい環境下でその役割を果たし続ける。
(写真・文=田山浩一)

明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
尻屋崎といえば「寒立馬(かんだちめ)」。南部馬の系統で足が短く胴が長くて、ずんぐりしている。一時は激減したが、今も極寒にも耐えられる寒立馬は放牧され健在。「東雲に 勇みいななく 寒立馬 筑紫ヶ原の 嵐ものかは」の短歌は有名。「寒立」はカモシカが冬季に山地の高いところで長時間雪中に立ちつくす様を表すマタギ言葉からきている。

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