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航空機リース事業、上昇気流に乗るか

伊藤忠がにブリティッシュ・エアにリース。中型旅客機10機超
航空機リース事業、上昇気流に乗るか

ブリティッシュ・エアウェイズ(同社提供)

 伊藤忠商事は英航空大手のブリティッシュ・エアウェイズ(BA)から、欧エアバスの中型旅客機十数機のリース契約を受注した。受注額は百数十億円とみられる。航空機のリース需要は、新興国の経済成長を背景に今後も拡大する見込み。伊藤忠は今回の受注を機に、保有・管理機体数の積み上げと新規顧客開拓を進め、需要を取り込む。

 受注したのは機内通路が1列の狭胴(ナローボディー)機「A319」で、リース期間は約6年。伊藤忠はBAと2014年にも約200億円のリース契約を結んでいる。今回、複数の企業との競争入札となったが、伊藤忠が提示する価格や機体に関する情報提供体制に加え、過去の取引実績なども評価され、受注できたもようだ。

 世界の旅客機の運航機数は現在約2万機。アジアを中心とする新興国での旅客数増加と格安航空会社(LCC)の成長に伴って、35年には約4万機まで伸びる見通しだ。これに伴い、リース比率も現在の4割から20年代には5割に達し、その後も堅調な伸びが予想されている。

芙蓉総合リースはスカンジナビア航空に


日刊工業新聞 2016年5月4日


 芙蓉総合リースはスウェーデン・デンマーク・ノルウェーが共同で運航するスカンジナビア航空に、米ボーイング製旅客機「B737」を1機リースした。自社保有機をスカンジナビア航空にリースするのは初めて。期間は約4年。受注額は非公表だが、50億円程度とみられる。

 米大手航空機リース会社がスカンジナビア航空とリース契約していた機体を売りに出したことをきっかけに、リース付きで芙蓉総合リースが買い取った。リース機の使用頻度の高いスカンジナビア航空は、芙蓉総合リースとは別の形態でリース契約の実績があり、今回の契約につながった。芙蓉総合リースの自社保有機はこれで15機となった。

 同社は市場の拡大が見込まれる航空機リースビジネスを強化している。2016年度以降、毎年度7機追加する計画で、18年度に35機の保有を目指している。すでに格安航空会社(LCC)のピーチ・アビエーション(大阪府田尻町)とは、欧エアバス製旅客機「A320」を今秋と来春、来秋に1機ずつ納入する予定。

双日、シンガポール社と提携


日刊工業新聞2016年2月23日


 双日は22日、航空機整備最大手のシンガポール・テクノロジーズ・エアロスペース(STA)と提携し、海外で中古航空機のリース・販売事業を拡大すると発表した。双日がSTA傘下で中古航空機リース・販売のキーストーン・ホールディングスの株式50%を3月に約12億円で取得。STAの機体整備・検査ノウハウと双日の機体調達力を融合し、アジア中心に世界の中古機需要を取り込む。

 新興国の旅客数増加や格安航空会社(LCC)の普及で、世界の運航機数は今後20年間で倍増する見通し。一方、航空会社間の競争激化で中古機の需要拡大が見込まれる。双日は提携を機に、STAと共同で退役航空機の解体や部品管理・販売、ビジネスジェット機などの事業も視野に入れる。STAは世界20カ所に整備工場などを持ち、2014年度売上高は約1750億円。

三菱UFJ、ベトナムでLCCと組む


日刊工業新聞2015年9月18日


 三菱UFJリースはベトナム格安航空会社(LCC)のベトジェット航空と航空機リース契約の覚書を結んだ。機種は仏エアバスのA320とA321で、計3機をリースか融資をする。既に1機はリースを始めており、残り2機も2016年以降に取り扱う予定。機体価格は合計で3億4700万ドル(約416億円)。

 ベトナム共産党中央執行委員会書記長グエン・フー・チョン氏の訪日に合わせて覚書を締結。三菱UFJリースはグループ会社のジャクソンスクエアアビエーションを通じ行う。

 ベトジェット航空は同国初の民間航空会社で、27機の航空機を保有する。利用者の増加に伴い、これからもエアバス製航空機を調達する計画。一方、三菱UFJリースも成長市場の航空機リース事業に力を入れており、今後も取り扱いを増やしていく方針。

 
日刊工業新聞2016年8月12日
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役ブランドコミュニケーション担当
伊藤忠はエアバスのほかボーイングとブラジル・エンブラエルの機体を計45機保有・管理している。これまでに欧米の大手航空会社を中心に約20社へのリース実績を持つ。今後、機体数を3年以内に80機程度まで増やす計画で、資本提携する中国の中信集団公司(CITIC)との協業として、中国の航空会社向けの営業活動も検討するという。

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