「破たん」劇的ビフォーアフター!JALは変わったか(3)国庫に傷が残るリスク

どうなる地域経済活性化支援機構の債権

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会社更生法申請を受けた記者会見(10年1月19日)
 会社更生法や民事再生法といった企業の「法的整理」は、しばしば「劇薬」と言われる。裁判所の権限の下で、人員削減や事業の整理など大規模なリストラを敢行するためだ。2009年10月に設立されたばかりで日本航空(JAL)のスポンサーになった官民ファンド「企業再生支援機構(現地域経済活性化支援機構)」で当時、再生支援委員長だった弁護士の瀬戸英雄は「組織やガバナンスなど、JALの問題点を短期間で一掃するためには、法的整理しかないという結論に達した」と振り返る。

 【意識の乖離】
 JALは戦後最大、2兆7000億円に上る負債を抱え、自力再建は難しい状況にあった。また年金や組合など構造的問題が噴出し、リストラや機材整理をはじめとした抜本的な経営改革が不可欠で、残された道は法的整理しかなかった。
 だが、JAL社内では法的整理への懸念も根強かった。当時、経営企画部長と収支資金計画部長を兼任し、現在、路線統括本部長の菊山英樹は「航空会社は信用商売。安全への要求が高い日本で法的整理となると風評被害も広がる。法的整理はあり得ないと言い続けて、瀬戸さんともよくけんかした」と話す。私的整理を模索するのは国土交通省も同じで、国交省はこの時期に私的整理を前提に水面下で全日本空輸(ANA)にJALの国際線事業を引き受けるように打診している。それぞれの思惑がJALの再建手法を巡って交錯していた。
 
 【資金にめど】
 スポンサーとなった企業再生支援機構は業務開始直後からJALと事前相談を進め、大型機を整理して中型機を効率よく運航するビジネスモデルへの転換や人員削減などを軸とした事業再生計画をまとめた。日本政策投資銀行によるつなぎ融資の実施、同機構が政府保証の下、JALへ出資することなども決まった。これにより同機構による再建の「エグジット」は3年後の再上場と決まると同時に、JALは公的支援という十字架を背負うことになる。
 
 事業再生計画策定で資金などのめどがつき、法的整理による再生への道筋は描けたものの、これを誰が実行するのかという問題が残っていた。失敗すればJALは2次破たんし、政府保証のついた機構の債権が焦げ付き、国庫に傷をつける恐れがある。(敬称略)

日刊工業新聞2015年03月06日 建設・エネルギー・生活面

COMMENT

高屋優理
編集局第二産業部
その他

「私的整理」か「法的整理」か、という経営再建の手法は、法的整理を選択して、業績のV字回復を果たした今でも、賛否両論あります。法的整理は海外でも事例がありますが、スイス航空は法的整理で信用を失ったことで、資金がショートし運航ができなくなってしまいました。JAL内部でも信用低下を恐れ、法的整理に反対する人は少なくありませんでした。

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