来年にも民間探査機による初の月面ミッション実現へ、米政府がGOサイン

「グーグル・ルナーXプライズ」参戦の米ムーン・エクスプレス

  • 1
  • 0
月面での探査機のイメージ(ムーン・エキスプレス)
 米シリコンバレーの宇宙ベンチャーが世界で初めて月面に到達する民間企業となる公算が大きくなった。グーグルがスポンサーとなり、2000万ドルの優勝賞金をかけて無人ローバーでの月面探査を競う「グーグル・ルナーXプライズ」(GLXP)への参戦を予定しているムーン・エキスプレス(Moon Express)がそれ。2017年後半に探査機をロケットで月面に送り込む同社の計画を、米連邦航空局(FAA)など米国政府が8月3日に承認した。

 これまで民間企業による宇宙ミッションは、約400km上空に浮かぶ国際宇宙ステーション(ISS)に物資の輸送船を打ち上げたり、地球周回軌道に人工衛星を放出したりするのにとどまり、それより遠い外宇宙のミッションは米航空宇宙局(NASA)などの政府機関が担っていた。ムーン・エキスプレスは、やはり米の宇宙ベンチャーでニュージーランドに子会社を持ち、軽量・低コストの「エレクトロン(Electron)」ロケットを開発するロケットラブ(Rocket Lab)と打ち上げ契約を結んでいる。

 同社の探査機は重量が約20ポンド(約9kg)。通常の無人探査機に装備されているような車輪や無限軌道がなく、推進エンジンに点火し、月面を飛び跳ねることで移動するユニークな機構を備える。

 2010年創業のムーン・エキスプレスは2017年末が期限のGLXPに参加する16チームのうち、主催者であるXプライズ財団により打ち上げ契約の認証をクリアした2チームのうちの一つ。もう1チームはイスラエルの「スペースIL」で、2017年にスペースXの「ファルコン9」ロケットでの打ち上げを予定している。賞金総額3000万ドルというGLXPでは、ロケットで打ち上げた無人探査機が月面を少なくとも500メートル走行し、期限の2017年12月末までに、月面の探査データとともに高精細のビデオ・静止画の映像をいち早く地球に送信することが受賞条件となる。ただ、ムーン・エキスプレスはGLXPでの優勝だけが必ずしも目的ではないという。

 「当社の2017年のミッションについての連邦政府の画期的な決断は、地球軌道を超えた民間部門による商業ミッションの先がけとなる」とボブ・リチャーズ共同創業者兼CEOが声明で述べているように、その先にある宇宙ビジネスの立ち上げが狙い。遺灰を月に運んだりするほか、月に存在する水を使ってロケットの推進剤となる過酸化水素(H2O2)やヒドラジン(N2H4)を製造して供給したり、地球に多量に存在しないプラチナやニオブ、イッテルビウム、ジスプロシウムといった天然資源や月の石を地球に持ち帰ったりする事業構想を打ち出している。

 このほかGLXP参加以外の民間企業としては、テスラモーターズのイーロン・マスクCEOが設立した宇宙ベンチャーのスペースXが、2018年に火星への宇宙船打ち上げを計画している。

Diana Krall - "Fly Me To The Moon" (Quartet Performances, Las Vegas)

ニュースイッチオリジナル

COMMENT

藤元正
モノづくり日本会議実行委員会

リチャーズCEOによれば、当初は月に彼の父親を含め5人の遺灰を持っていくとともにダイアナ・クラールの歌う"Fly me to the moon"の曲を流すそうです。エヴァンゲリオンTVシリーズでエンディングに使われた綾波レイのテーマですね。なぜダイアナ・クラールの歌声なのかは知りませんが、たぶん彼女が月の女神のダイアナ(ディアーナ)と同じ名前だからでしょうか。

関連する記事はこちら

特集