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「カローラ」50歳。“世界の大衆車”が打ち出す新基軸とは

次期モデルはより大型化し、世界の若者へ「かっこよさ」を訴求
「カローラ」50歳。“世界の大衆車”が打ち出す新基軸とは

歴代の主なカローラ開発主査と初代カローラ(千葉市内で開かれた展示会)

 トヨタ自動車の小型車「カローラ」が1966年の初代発売から今年で50年となる。トヨタの最量販車として「80点主義+α」を掲げ、現在も世界のモータリゼーション(車社会化)の最前線をひた走る。一方、国内では「プリウス」「アクア」などのハイブリッド車(HV)に量販車の役割がシフトし、カローラの販売にかつてほどの勢いはない。モータリゼーションの旗手は今、新たな進路を模索している。

 「私はカローラでモータリゼーションを起こそうと思い、実際に起こしたと思っている」。トヨタ中興の祖である故・豊田英二氏の残した言葉だ。英二氏が副社長だった66年11月、トヨタは初代カローラを発売。カローラのためにエンジンと車両組み立ての2工場を新設する力の入れようだった。

 初代カローラは乗り心地や操作性などすべての面で落第点を出さず、かつスポーティーさも求める「80点主義+α」を打ち出し、大衆車の地位を確立。その後も時代の要請に応じて排ガス規制や燃費性能向上に対応し、69年から2001年まで33年間連続で国内年間販売台数1位の偉業を成し遂げた。

 6、7代目カローラの開発を担当した斎藤明彦トヨタ顧問は「カローラは設計と生産技術が一体となって開発する車。内装などの高級感を高める一方、金型の外注化を進めてコストを抑えた」と振り返る。

 世界にモータリゼーションを引き起こすカローラの地位は今も揺るがない。派生車種を含む年間販売台数168万台の9割以上は海外だ。

 世界16工場で生産し、154カ国で販売する。米国では日常使いの車として、中国では中間層のエントリー車として売れる。一方、ブラジルやタイなどでは富裕層の乗る高級車の地位を確立。地域によって異なる顔をみせる。


 一方、難しくなってきたのが発祥の地、日本での立場。2000年代以降、プリウスやアクアなどのHVが年間販売台数トップを競う中、カローラの車名別販売台数は10位台に甘んじることが多くなった。

 カローラ所有者の平均年齢も上がり、トヨタ首脳は「昔のカローラが果たした役割を、今はプリウスが担っている」と話す。

 先進国でも新興国でも売れなくてはならない最量販車をどう作るのか。開発陣は難題に立ち向かう。19年前後の発売を予定する12代目カローラを担当する小西良樹ZEチーフエンジニアは「乗り心地や安全性能の追求に加え、『かっこいい車』を目指す」と語る。デザインを抜本的に変え、特に若年層の取り込みを狙うという。

 トヨタは次期カローラで現行モデルより車両を大型化し、新型プリウスと同様の車台を使う計画。同時に4輪駆動(4WD)方式のHVを設定して、寒冷地を含めた世界各地での拡販を狙う。

 過去50年間で36回獲得した国内年間販売1位の座。12代目で販売をテコ入れし、これをもう一度つかみ取る目標だ。
(文=名古屋・杉本要)
日刊工業新聞2016年8月8日
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役ブランドコミュニケーション担当
「プリウスがカローラになる日を夢見ている」。トヨタ自動車関係者のそんな言葉を聞いたのは10年ほど前。そして夢は2010年に現実となる。同年の国内車名別ランキングでプリウスが初の首位に輝いた。販売台数約31,6000台は、大衆車の代名詞だったカローラがその20年前に打ち立てた30万台を破った。昨年の日本における販売台数は「プリウス」127,403台(全体の2位)、「カローラ」109,027台(同4位)。一方、米国市場ではプリウスが前年比11%減の18万4794台、カローラが36万3322台でカローラが上回る。数字だけみるとまだまだカローラを超えていない。ちなみに日本で昨年一番売れた登録車は「アクア」215,525台、米国市場での日本車は「カムリ」42万9355台である。

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