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ファーストクラスの新しい空間。ジャムコが航空会社へ売り込み

上級クラスシートのコンセプトモデル「Space X」を公開
ファーストクラスの新しい空間。ジャムコが航空会社へ売り込み

ジャムコが提案する次世代シート「Space X」のファーストクラス(同社提供)

 航空機内装品大手のジャムコは、上級クラスシート「Space X」をこのほど公開した。現段階ではコンセプトモデルで、航空会社への売り込みを進めている。

 Space Xは、2015年6月に発表した次世代航空機用ラバトリー(化粧室)「Lavatory X」、今年4月発表の次世代ギャレー(厨房設備)「Galley X」に続く、デザイナーの和田智氏(SWdesign)との共同開発によるもの。

 ファーストクラスとビジネスクラスのシートで構成し、機内での食事や映画鑑賞など、さまざまなシーンで快適で安全な個室空間を表現したという。ビジネスクラスでは、中央席からも通路に直接出入りできるようにした。

 構成部品や構造は、先端材料やシンプルな機構を用いることで軽量化。モジュール構造や部品の共通化による製造コストの低減や、メンテナンス性の向上を追求していくという。

 設置できる機種は特定せず、ワイドボディー機(双通路機)であれば搭載できるようにする。

 ジャムコによると、「航空会社からは、サプライヤーの提案力が求められている」として、コンセプトモデルにより受注獲得を目指す。

 同社は2014年4月、航空機シート事業に本格参入。ファーストクラスやビジネスクラス向けシートの開発や設計、製造を始めている。3月に開所した連結子会社宮崎ジャムコの新工場では、シートの主要部品であるバックシェルやコンソールの量産組立を担う。

 また、4月に発表したGally Xは、収納量を減らさずにギャレーの床面積を縮小。乗客のスペースを確保できるカートリフターや、タッチパネル式コントローラーなどを採用する。

 一方で、2017年3月期通期の連結業績予想は、円高進行や価格引き下げによる売上高の減少、ボーイングが開発中の次世代大型機777Xへの移行に伴い、現行の777向けギャレーなどの受注減少を受け、減収減益となる見通し。

 売上高が前期(16年3月期)比3.8%減の881億2300万円、営業利益が37.2%減の55億2500万円、経常利益が36.1%減の52億6500万円、純利益は35.9%減の33億1200万円を見込んでいる。

(次世代シート「Space X」のビジネスクラス=同社提供)

(次世代シート「Space X」のビジネスクラス=同社提供)

(次世代ギャレーのモックアップ「Galley X」=同社提供)
吉川忠行
吉川忠行 Yoshikawa Tadayuki Aviation Wire 編集長
ファーストとビジネスクラス新シートのコンセプトモデル。実用化はまだ先です。

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