住友化学、日本ゼオンと低燃費タイヤ向けゴム事業の統合検討

S-SBRプロセスの優位性と安価なブタジエンの調達がカギに

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 住友化学と日本ゼオンは4日、低燃費タイヤ向け溶液重合スチレンブタジエンゴム(S―SBR)事業の統合に向け検討を始めると発表した。共同出資会社の新設や、両社子会社を含めたS―SBR事業の共同出資会社への移管などを検討する。


 統合によって新製品開発力やコスト競争力を向上。併せて世界的に拡大する低燃費タイヤ需要に対して安定供給体制を整え、シェア拡大を狙う。9月末までに統合効果を検証し、12月末めどに最終契約を締結。2017年4月に新会社の営業開始を目指す。

 S―SBRはタイヤの接地面(トレッド)に使う。走行時に路面抵抗を減らし、燃費改善に寄与する。耐摩耗性や雨天時の安全走行を実現するグリップ性能も高い。

 国内では連続重合製法を用いる旭化成と、バッチ重合製法のJSRと日本ゼオン、住友化学などが供給。事業統合後は同一製法で生産増強中のJSRに迫る規模になる。

 低燃費タイヤ用S―SBRの15年度の世界需要は約110万トン。低燃費タイヤは環境規制の厳格化などを背景に需要が拡大しており、S―SBRも年率6―7%で成長する見通し。

 このためJSRはタイ工場の2期工事やハンガリー工場の新設で、18年度の年産能力を22万トンにする。旭化成も18年度にシンガポール工場の年産能力を3割高める戦略を打ち出している。

日刊工業新聞2016年8月5日

COMMENT

7月2日付のニュースイッチでもコメントしたが、S-SBRは能力の伸びが需要の伸びを上回っている。過去5年間の能力の伸びは年9%であり、今年と来年も同様な伸びが見込まれている。一方、原料となるブタジエンは、誘導体の増産により、比較的高稼働が見込まれる。 また、米国のシェールガス由来のエタンクラッカーはブタジエンを生産しないので、ブタン・ブテンの脱水素からのブタジエン生産も計画されている。S-SBRプロセスの優位性と、いかに安価なブタジエンを調達できるかがS-SBRの競争力を左右しそうである。

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