独DHLエクスプレスにとってアマゾンは優良顧客かライバルか
ケン・アレンCEOインタビュー「越境ECの拡大で貨物小口化さらに進む」
世界的に電子商取引(EC)市場が拡大し、物流業界にも大きな変革の波が訪れている。独DHLエクスプレスのケン・アレン最高経営責任者(CEO)は「貨物の小口化はさらに進む」と、荷動きの変化を予測。市場の変化にどのように対応するのか、今後の戦略を聞いた。
―足元の荷動きはいかがでしょうか。
「中国経済の減速などで世界的に輸出入は低調。商品価格も下落し、トレード(取引)自体は減っている。ただ、これは金額ベースの話で、ECの拡大などで、小口貨物が増え、荷物の量は微増ながら増えている。DHLエクスプレスの2015年の利益は、前年比で7―9%伸びた」
―物流会社のビジネスにとって、どのような影響がありますか。
「これまで物流会社は、メーカーや資源などのグローバルメジャーに合わせて設備投資し、成長してきた。しかし近年は、米アマゾンや中国のアリババ(阿里巴巴集団)など、ECの台頭で、中小の事業者が国境を越えて、世界中から注文を受け、トレードすることが可能になった。小口貨物が縦横無尽に世界中を行き交うようになり、今後も貨物の小口化は進む。物流会社はこれに対応する必要がある」
―拡大するECの小口貨物を、どのように取り込みますか。
「スピードとサービスに尽きる。日本では新たな物流施設、『東京ゲートウェイ』を稼働した。従来の物流施設に比べ、面積や貨物仕分け能力が約2倍に拡大し貨物の同日搭載、同日配達を可能とした。こうした設備投資を世界中で進めて、グループ全体のネットワークを強くしていくことが大事だ」
―アマゾンは優良顧客の1社ですが、自社で貨物機の運航を計画するなど、今後、競合の可能性があります。
「アマゾンは最大級の顧客なので、何をしようとしているか、注目している。彼らにとって今の物流体制では不十分で、そこを強化したいのだと思う。我々としては、ECの中小の事業者を取り込み、一つの顧客に偏らない事業構造にしていくことが必要だと考えている」
【記者の目/再配達のコスト増大に挑む】
EC普及を背景に貨物が小口化し、個人宅への配達が増えれば、各国における宅配ネットワークの構築も急務になる。しかし国内の宅配事業者は、在宅率の低下による再配達のコスト増大に頭を悩ませる。DHLのようなグローバル企業が、こうした課題にどう対応するのか。新物流施設の運用を含め、物流業界の関心が高い。(聞き手=高屋優理)
―足元の荷動きはいかがでしょうか。
「中国経済の減速などで世界的に輸出入は低調。商品価格も下落し、トレード(取引)自体は減っている。ただ、これは金額ベースの話で、ECの拡大などで、小口貨物が増え、荷物の量は微増ながら増えている。DHLエクスプレスの2015年の利益は、前年比で7―9%伸びた」
―物流会社のビジネスにとって、どのような影響がありますか。
「これまで物流会社は、メーカーや資源などのグローバルメジャーに合わせて設備投資し、成長してきた。しかし近年は、米アマゾンや中国のアリババ(阿里巴巴集団)など、ECの台頭で、中小の事業者が国境を越えて、世界中から注文を受け、トレードすることが可能になった。小口貨物が縦横無尽に世界中を行き交うようになり、今後も貨物の小口化は進む。物流会社はこれに対応する必要がある」
―拡大するECの小口貨物を、どのように取り込みますか。
「スピードとサービスに尽きる。日本では新たな物流施設、『東京ゲートウェイ』を稼働した。従来の物流施設に比べ、面積や貨物仕分け能力が約2倍に拡大し貨物の同日搭載、同日配達を可能とした。こうした設備投資を世界中で進めて、グループ全体のネットワークを強くしていくことが大事だ」
―アマゾンは優良顧客の1社ですが、自社で貨物機の運航を計画するなど、今後、競合の可能性があります。
「アマゾンは最大級の顧客なので、何をしようとしているか、注目している。彼らにとって今の物流体制では不十分で、そこを強化したいのだと思う。我々としては、ECの中小の事業者を取り込み、一つの顧客に偏らない事業構造にしていくことが必要だと考えている」
【記者の目/再配達のコスト増大に挑む】
EC普及を背景に貨物が小口化し、個人宅への配達が増えれば、各国における宅配ネットワークの構築も急務になる。しかし国内の宅配事業者は、在宅率の低下による再配達のコスト増大に頭を悩ませる。DHLのようなグローバル企業が、こうした課題にどう対応するのか。新物流施設の運用を含め、物流業界の関心が高い。(聞き手=高屋優理)
日刊工業新聞社2016年6月16日