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現社長の私塾から育った日本ユニシス“笑顔の営業女子"

勘定系のシステムエンジニアから転身。「日本の保育」を支えるサービス事業へ
現社長の私塾から育った日本ユニシス“笑顔の営業女子"

左から2番目は角さん

 日本ユニシスのエコシステム推進事業部に所属する角佳織さんは現在、保育業務支援クラウドサービス「チャイリーフスペース」の営業に日々、奮闘している。2年という時間をかけて実用化にこぎつけただけあって、同サービスへの思い入れは人一倍強い。「自分が一から作ったものを自分で売れるという経験はなかなかできない」と満足げに話す。

 同サービスはITを活用して保育事業に関わる業務を効率化し、保育の質の向上を支援する。園児の成長や健康状態、出欠状況などを管理でき、保護者と園内の情報を共有できる機能を搭載している。「このサービスは自分の子どものような存在。しっかり良さを分かってもらいたい」と言葉に力が入る。

 角さんは2009年に入社し、その後3年間は会社の規定でシステムエンジニアとして働いた。主力である金融機関の勘定系システムの開発に携わった。

お客さまの顔が見える仕事がしたい



 大型案件に対応する中で「自分の作ったサービスがどのように役立っているのか気になり始め、お客さまの顔が見える仕事がしたいと思うようになった」という。そこで営業への転身を決断。さらに当時、常務だった平岡昭良社長が立ち上げた私塾への参加も決めた。『ITで新たな価値を創造しよう』という思いに惹(ひ)かれたからだ。

 私塾では4人ずつのチームに分かれ、新しいITサービスの企画を立てた。待機児童問題が表面化する中で「日本の保育のあり方が変わりそうだ」と考え、彼女のチームは「保育」をテーマに設定した。

 実際に保育園に訪れ、何が必要か聞いて回った。だが日常の業務と並行して行うため、思うように進まなかった。何度も諦めかけたが「子どもに寄り添った保育を実現するお手伝いをしよう」という思いがメンバーを鼓舞させた。ようやく15年にサービスを開始した時は「ついにできた」という思いだけだった。

 リリースから1年がたち、問い合わせも順調に増えている。苦楽を共にしたメンバーの何人かは今でも一緒に同サービスに関わっている。「楽しく仕事していると自信を持って言える」と笑顔で胸を張る。

 平日を頑張るためのリフレッシュ方法はフルートを演奏すること。吹奏楽団「東京ブレイズ・シンフォニックバンド」に在籍し、演奏を楽しんでいる。ちなみに、この楽団で夫と巡り合った。

 今後は自治体や企業などと連携し、同サービスを発展させていきたいと考えている。「共働きの家庭が増える中、子どもと関わる時間を密にできるようなサービスに進化させる」ことが夢だ。
日刊工業新聞2016年8月3日
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
角さんにはもちろんお会いしたことはないが、記事を読む限り大手企業における社内ベンチャーや新規事業で、比較的成功する要素が揃っているように感じる。経営層の理解がある、良いチームで動いている、自分がやりたいこと(おそらく)である。営業ができるエンジニアである、、などなど。オーナシップを持って情熱を注いでいってもらいたい。

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