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東海道新幹線、7年ぶり新型車両 2020年に「N700S」導入

JR東海、東海道新幹線の車両更新を加速−19年には全車両最新型に
東海道新幹線、7年ぶり新型車両 2020年に「N700S」導入

新型車両「N700S」のイメージ

 JR東海は東海道新幹線の車両更新を加速する。2020年に東海道新幹線の新型車両「N700S」を導入。新型車両を導入するのは13年の「N700A」以来、約7年ぶりとなる。足元では「N700系」を現行の最新型車両「N700A」と同等の機能に高める改造工事を実施しており、19年には131編成の全車両が最新型に置き換わる計画だ。JR東海はこの翌年から新型車両を投入し、矢継ぎ早に更新を進めることになる。

海外展開も視野


 JR東海が20年から導入するN700SはN700Aに比べ、駆動システムに次世代半導体「SiC(炭化ケイ素)素子」を採用する。

 同社はSiC素子を採用した新幹線車両の駆動システムを、東芝日立製作所富士電機三菱電機とともに共同開発。高速鉄道の駆動システムにSiC素子を採用するのは世界初となる。柘植康英社長が「海外展開も視野に入れた革新的な車両」と胸を張るのは、このためだ。

 N700SはSiC素子の駆動システムに独自の走行風冷却技術を組み合わせ、大幅な小型・軽量化を実現。駆動システム自体の重量はN700Aに比べ約11トン、20%程度軽量化する。車両自体の重量もN700Aの1編成713トンから、700トン以下になる。また、現在は全編成が16両編成の東海道新幹線だが、駆動システムの小型化で編成の自由度が増し、12両編成や8両編成なども可能になる。

全席でスマホ充電


 サービス面では、モバイル端末用のコンセントを増設し、普通車も含めた全座席に設置。現行の車両はコンセントが窓側か最前列に限られており、ちょっとした争奪戦もあったが、全座席でスマートフォンなどの充電が可能になり、利便性が向上する。

 JR東海は現在、N700Aを27編成保有しており、16―19年に20編成を追加投入し、19年までに51編成に拡大する。現在27編成保有する700系が、19年にすべてN700Aに置き換わり、改造を終えたN700系80編成を合わせて、131編成が最新機能を備えた車両となる。

輸送力が強化


 700系が引退することで、全車両で最高速度285キロメートルの走行が可能になり、さらなる輸送力の強化につながる。

 同社は18年3月にもN700Sの確認試験車を製作し、営業運転開始までの間、最終確認を実施する。すべての車両を最新型に更新した翌年から、間を置かずに最新車両を投入し、その時点で最も古い車両となるN700系を置き換える。

 27年にはリニア中央新幹線が開通し、大きく役割が変わる東海道新幹線。新型車両は編成の自由度が増すなど、そこを見越した工夫もある。
(文=高屋優理)
日刊工業新聞2016年8月2日 建設・エネルギー・生活1面
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
新幹線の新型はどれもカモノハシのように鼻がとても長いデザインになってしまいました。300系のようなシュッとしたマスクが懐かしくなります。

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