シャープ再建停滞「8月末になると出資がない場合の対応を考える必要がある」(銀行)

4―6月期も赤字計上で、債務超過額はさらに増える

会見後質問に答える野村副社長
 シャープの経営再建へのタイムリミットが迫っている。7月29日の決算会見で野村勝明副社長は10月までの再建計画策定を表明。だが台湾・鴻海(ホンハイ)精密工業の出資時期の見通しが立たない上、売上高が急速に落ち込み、財務状況はさらに悪化している。出資完了後に再建計画を策定する考えだが、「8月末になると出資がない場合の対応を考える必要がある」(複数の銀行幹部)との指摘もある。

 シャープは2016年4―6月期連結決算で274億円の当期損失を計上。6月末の債務超過額は3月末より400億円以上増えて750億円となった。

 8月に入っても台湾・鴻海精密工業の出資が得られず、経営再建は停滞状態。中国政府の独占禁止法審査完了時期について鴻海幹部は「当日まで分からない」としており、出資契約期限の10月5日に間に合う保証はない。野村副社長は「(経営再建への)影響は今のところ特段ない」とするが、待つ以外に打つ手がないのが実情だ。

 鴻海とシャープが協業の本丸に位置づける有機エレクトロ・ルミネセンス(EL)パネルは17年の生産開始を計画するが、これも出資待ちで「一部の設備部品は発注に遅れが出始めている」(装置メーカー)。前向きな再建計画の道筋が示せない一方、グローバル7000人規模の人員削減や中国での人員再配置といったリストラ策もちらつく。停滞感を払拭(ふっしょく)できるのは鴻海からの出資完了だけという苦境にある。

電機大手7社の4―6月期、全社減収



 東芝を除く電機大手7社の2016年4―6月期連結決算が出そろった。為替の円高進行により三菱電機が17年3月期連結決算業績予想を下方修正するなど、マイナスの影響が広がっている。“攻防ライン”は対ドルで105円との見方が多いが、足元では105円を切る場面も少なくない。各社はコスト削減や海外調達の拡大など対策に迫られている。

 日立製作所は17年3月期の対ドルの為替レートで110円を想定する。円高進行に対し西山光秋執行役専務は「5円程度の円高であれば吸収できる。しかし100―102円になると影響が出てくる」と説明。「第2四半期が終わった時点で為替レートと、通期の業績予想を見直す可能性がある」と語った。

 日立は17年3月期中に構造改革費用として800億円を確保しており、コスト低減を加速させて円高の影響を吸収する構えだ。

 一方、三菱電機はユーロなどドル以外の通貨の想定レートを円高方向に見直し、通期業績予想を下方修正した。松山彰宏専務執行役は為替動向について「日米欧の金融当局の政策に敏感に反応しており、見通しにくい」と懸念する。円高対策として、海外拠点で現地調達を拡大する考えを示した。

 近年、電機各社は安定的に稼げるBツーB(企業間)ビジネスに軸足を移してきた。インフラ関連では「国内で工場設備の更新需要が活発化してきた」(業界関係者)と明るい話題もある。また海外でも設備投資の需要が堅調に推移している。三菱電機の16年4―6月期の産業機器事業は、海外では為替影響を除けば増収という。

 パナソニックの河井英明専務も車載機器関連など成長事業の仕込みが進んでいるとの認識を示す。得意なBツーBビジネスを拡大し円高の影響を打ち返せれば、安定成長が見えてくる。

日刊工業新聞2016年8月1日

COMMENT

明豊
デジタルメディア局
局長

まぁ、対応は考えるは考えるだろうがもう後戻りはできない。29日の決算会見は前回の会見の時に比べ出席した記者の数も激減した。当日は電機大手の他の決算も重なっていたとはいえ、メディアの関心は以前に比べ薄れた。本当の再建はこれから。主力で課題事業である液晶をはじめ個別事業の状況を子細に見ていく必要がある。液晶は他社との競争環境を含め改善しているとは言いがたい。

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