NANDフラッシュメモリー、3D「64層」の対決へ。東芝はサムスンに追いつけるか

「サムスンに対する遅れは半年」(東芝副社長)

  • 3
  • 5
半導体メモリーを生産する東芝の四日市工場
 東芝は27日、単位面積当たりの容量を従来の1・4倍に高めた3次元(3D)構造NAND型フラッシュメモリー(写真)を開発したと発表した。記憶素子の積層数は64で、容量は32ギガバイト(ギガは10億)。サンプル出荷を始めており、2017年前半に量産を始める。

 データセンター(DC)向けのソリッドステートドライブ(SSD)やスマートフォン、メモリーカードなどを中心に提供する。今後は容量を64ギガバイトまで高める計画だ。

 また同日、東芝と提携する米ウエスタンデジタルも64層の3D構造NAND型フラッシュメモリーの生産を始めたと発表した。

 10―11月に市販向け製品を量産し、出荷を始める。またOEM(相手先ブランド)生産向けは9月までにサンプル出荷を開始し、17年前半に量産体制を整える。

 64層の3D構造NAND型フラッシュメモリーは、東芝四日市工場(三重県四日市市)の新第2製造棟で生産する。同製造棟は7月に全面稼働した。

成毛副社長に聞く「不具合への対応力が勝負」


 東芝の3D構造NAND事業の見通しについて、成毛康雄副社長に聞いた。
 
 ―量産開始がサムスンから2年遅れました。
 「もちろんサムスンが先行している認識はある。ただ2年前は製造装置の能力が不足し、サムスンも設備をフル活用しても良品を作れないという壁を越えるのに時間がかかっていたと見ている。現在は装置が進歩し生産面はクリアした。あとは不具合への対応力が勝負だが、それも道筋が見えている。丸々2年遅れとは考えていない。感覚としては半年くらいではないか」

 ―コスト競争力をどう高めていきますか。
 「初めての量産のため、余分な工程や検査でコストが膨らんでいる。これを省く。下期中には実力的にサムスンに追いつけるだろう。またAIやビッグデータを活用し、歩留まりを上げる。画像データから欠陥を検出する取り組みでは、従来の2倍となる8割程度を自動化できるという結果が出た。もっと進めたい」

 ―生産で手を組む米サンディスクが、米ウェスタン・デジタル(WD)に買収されました。影響は。
 「大きくは影響しないだろう。四日市工場のオペレーションや、投資も積極的にやっていけると考えている」

 ―市場の見方は。
 「中国スマホの大容量化がしばらく続き、需給バランスは改善されるだろう。一方リスクは為替と競合の増産だ。積極的にシェアを取りに行く訳ではないが、シェアを落としてはいけないと強烈に感じている。競合の増産状況や市況リスクを見極めて投資を決める」

 ―分社化の可能性は。
 「分社化はいざという時の選択肢の一つとして否定はしないが、具体的な検討はない。NAND事業を単独で見てどうあるべきか、が判断ポイントだ」

 ―中国メーカーを中心に、協業の可能性を探る動きも活発になっています。
 「協業はなきにしもあらずだが、NANDを手がけるメーカーは少ない。(独占禁止法などの関係から)実現まで時間がかかってしまうため、難しいのではないか。この1―1年半は、3Dの立ち上げ状況が今後のビジネスの動きや、主要プレーヤーの立ち位置に大きく影響を与えると見ている。まずはこの勝負に全力をかける」

日刊工業新聞2016年2016年7月15日/28日

COMMENT

後藤信之
編集局ニュースセンター
副部長

7月28日には韓国サムスン電子が、64層の3D構造NANDメモリーを年内に量産することを明らかにした。64層製品で東芝に先行する形だ。同メモリーを巡っては先行するサムスンを、東芝が追う構図が続く。これまで東芝は生産技術を強みに、資金力で勝るサムスンと渡り合ってきた。3D構造NANDメモリーでは量産技術でもサムスン優位に陥る可能性がある。東芝は踏ん張りどころだ。

関連する記事はこちら

特集