「薄膜」太陽電池、冬の時代を乗り越え。ソーラーフロンティアが新工場

再び人気再燃の可能性も、気になる親会社・昭和シェルの合併問題

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ソーラーフロンティアの公式動画(ユーチューブより)
 ソーラーフロンティア(東京都港区、平野敦彦社長)は、銅・インジウム・セレン(CIS)系太陽電池の生産を始めた東北工場(宮城県大衡村)を、報道関係者に公開した。製造装置の小型化、生産ラインの統合などの効率化を重ね、設備投資額、従業員数を国富工場(宮崎県国富町)の3分の2に抑え、生産速度を3倍に高めた。2017年初頭をめどに本格稼働を目指す。

 まずは宮城県内の住宅向けに販売し、本格稼働後は東北地方を中心に全国に販売する。従業員約100人の多くを現地で採用した。雇用創出のほかに「技術の伝え方などで海外生産拠点を設けた際のモデルケースにする意味合いもある」(久保田肇工場長、写真)という。平野社長は「18年をめどに住宅向け太陽電池の国内シェア30%を獲得することが目標」と語った。

ファシリテーターの見方


 京セラ、パナソニック、三菱電機、シャープはシリコンが材料の太陽電池(シリコン系)です。ソーラーフロンティアは「化合物系」を製造します。形状で言えば「薄膜」です。その薄膜系は冬の時代が続きました。

 シャープは一時、薄膜(シリコンの非結晶)の量産に力を入れたものの、今はどうなったかの。富士電機はニュージーランド企業に工場ごと売却し、三菱重工もやめました。ホンダの銅・インジウム・ガリウム・セレン(CIGS)は個性的な太陽電池ですが、やはりやめました。(ところでホンダは特許、工場などをどうしたのでしょうか?)

 薄膜はコストが安い。あと軽く、柔軟で曲げられるものもあり、設置場所の制約が少ないというのがメリットでした。特に一般的なシリコン系(多結晶、単結晶)のコストが高い時代、低コストは魅力的でした。しかしシリコン系のコストが下がるとコストメリットが薄まり、逆に弱点だった発電効率の低さが目立ってきました。

 ソーラーフロンティアは新工場で発電性能(発電効率)を高めたCIS太陽電池を量産します。米ファーストソーラーも化合物系(テルル化カドミウム)の発電効率(22%、研究段階)を多結晶シリコン以上まで上げてきています。

 シリコン系よりも発電効率の伸びシロはあるようです。コスト力をそのままに発電効率が上がれば、薄膜は再び人気になるのではないでしょうか。
<続きはコメント欄で>


日刊工業新聞2016年7月29日

COMMENT

松木喬
編集局第二産業部
編集委員

薄膜は軽さを生かして「窓に設置」「シースルー」「採光ができる」などと訴求されてきましたが、よくよく振り返ると屋根の上だとシリコン系と真っ正面から戦えないから「変化球」で攻めていたのかもしれません。一時はシャープ太陽電池事業の買収も報道されたソーラーフロンティア。いまは親会社の合併問題が気になります。

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