宇宙でメダカの実験、骨量が減る仕組み解明

骨粗しょう症の治療法開発にも期待

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ISSの水槽で飼ったメダカ(JAXA提供)
 国際宇宙ステーション(ISS)は地上の重力のわずか1万分の1という微小重力環境にあり、宇宙飛行士が長期滞在すると骨量が減ることが知られている。

 東京工業大学生命理工学院の工藤明教授らは東京医科歯科大学や宇宙航空研究開発機構(JAXA)と共同で、微小重力環境下で骨量が減る仕組みをメダカの実験で解明した。

 ISSの日本実験棟「きぼう」で2012年10月から2カ月間飼育したメダカを解析。地上では従来釣り合っている骨を作る作用と壊す作用のバランスが崩れ、のどの奥にある歯を支える骨の密度が24%減少していることを明らかにした。工藤教授は「宇宙飛行士の健康維持に関する知見として役立つかも知れない」と強調する。

 微小重力下での実験では、地上と異なり特殊な装置が必要になる。水槽を含む実験装置は給餌、飼育用の水の浄化、温度や酸素濃度の環境維持、ビデオ観察などを自動で行った。こうした設備がISSで長期間の小型魚類飼育を可能にした。

 工藤教授らの研究室ではモデル動物を使い、器官形成の仕組みの解明を目指している。地上では飛行機を急降下させ、微小重力環境をつくる方法があるが、「数十秒程度しか微小重力環境をつくれないため、メダカへの影響は調べられない」(工藤教授)とISSでの実験の意義を強調する。

 12年に実施した研究の意義は、宇宙飛行士の健康維持にとどまらない。骨が弱くなり骨折しやすくなる「骨粗しょう症」は地上でモデル動物を作れないため、研究があまり進んでいないという。

 ISSで飼ったモデル動物を解析することにより、「疾患の原因解明につながるのではないか」(同)と同疾患の治療法の開発に役立つことを期待している。

日刊工業新聞2016年6月3日

COMMENT

明豊
執行役員デジタルメディア事業担当 DX統括

ISSで滞在を始めた大西飛行士。予定されている大型イベントは、ロボットアームで国産物資補給船「こうのとり」を捕捉する作業。さらに今回、ISSの運用に必要なバッテリーについて、日本製のリチウムイオン電池が使われている新型バッテリーに置き換える予定。さらに多くの実験が計画されており、JAXAだけでも20以上のミッションがある。その中でも今夏にもきぼうで始まると期待されているのが、マウスを利用した小動物飼育実験。遠心機で人工的に作った地上と同じ重力環境と、微小重力環境を準備。各環境でマウスを飼育することで重力の影響のみを調べられる。大西飛行士が飼育するマウスを解析することで、骨量減少や筋萎縮など加齢に関わる疾患の解明や、治療薬の開発がさらに進む可能性もある。

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