ポストスマホへの布石?村田製作所がソニーの電池事業を買収

大きなリスクを背負い込む恐れも

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ソニーの平井一夫社長(左)と村田製作所の村田恒夫社長
 村田製作所は28日、ソニーの電池事業を2017年3月をめどに買収すると発表した。買収額は数百億円とみられる。モバイル機器メーカーへの広い販路や生産技術力を生かし、リチウムイオン二次電池事業を拡大。注力分野のエネルギー関連事業の中核に位置付ける。

 4月頃から買収交渉をはじめ、28日に事業譲渡の意向確認書を交わした。資産査定などを経て、10月中旬の契約の締結を目指す。

 ソニーの電池事業の16年3月期売上高は約1600億円。モバイル機器向け二次電池事業は韓国勢などとの競争が激しく、赤字体質が続く。事業売却や他社との統合も度々、検討されてきた。

 村田製は積層セラミックコンデンサーや表面弾性波(SAW)フィルターなどモバイル機器の重要部品で世界トップ。藤田能孝副社長は「顧客を網羅する販売網を使って事業を拡大する」と話す。

 買収対象はスマートフォン、タブレット型端末向けなど。USBポータブル電源など消費者向けはソニーが事業を継続。中国やシンガポール製造拠点、国内外の研究開発、販売拠点など同事業に関する人員、資産は村田製が引き受ける。

 村田製は自社で車載用電池などの開発を進めているが、まだ試作段階。ソニーの生産ラインを使って小さな投資で事業を拡大できるとする。積層セラミックコンデンサーで培った積層技術を生かし、固体電池などの次世代型製品開発も加速する。

日刊工業新聞2016年7月29日 総合3面

COMMENT

尾本憲由
編集局
ニュースセンター長

スマートフォン向けの部品で圧倒的な強さを見せる村田製作所だが、電池事業の買収は大きな分岐点となるのだろうか。同社は将来の成長に向けた重点事業として自動車、ヘルスケア、エネルギーを掲げるが、電池がそれらポストスマホの成長を加速するキーデバイスとなり得るはず。ただ積層セラミックコンデンサーや高周波デバイスと違って、ソニーの電池事業はグローバル市場で劣勢。業績も悪化しており、大きなリスクを背負い込む恐れも。同じ京都企業である日本電産のような、巧みなM&Aを見せられるか?

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