ニュースイッチ

法律に強いAIが登場!文書の内容を深い意味で理解、話し言葉で的確に返答

シミュラティオが開発、2017年度から本格的に提供
 シミュラティオ(横浜市港北区)は、法律や技術文書など専門的な文書データに強い人工知能(AI)を使ったシステム「LAND(ランド)」を開発した。文書の内容を深い意味で理解し、文書の内容について日常会話のような自然言語で質問されても的確に返答する。2017年度から本格的に提供を開始し、21年度に20億円の売り上げを目指す。

 製造業や金融機関などの法律を扱う業務や省庁向けの書類作成を行う業務に向く。コールセンター業務での専門的な内容をすぐに探して返答するといったケースにも適しており、業務支援ツールとして幅広い業種へ提供できる。多言語対応も可能で19年度には海外展開もしたいという。

 独自のAIにより、文章を論理プログラムとして理解し、質問は依存構造を介して理解する。一階述語論理と呼ばれる言語的な深い意味理解が可能で「ポールの妻がマリー」、「マリーの子どもがトム」といった関係性の構造を理解する。「サンタクロースは赤い服を着てプレゼントを配る」と「サンタは実在しない」といった文章の内容に矛盾があっても「サンタとは?」という質問に返答できる。一般的なツールは矛盾のある文章の理解が難しい。

 一般的なデータマイニングツールはキーワードを抽出するものが多く、論理的な意味理解が不得手だという。

 現状はデータ入力の知識を持った人間が手作業でランドに入力する必要があり、時間と手間がかかることが難点。新聞記事1本で30分ほどかかるため、入力の自動化とスピードアップに取り組む。
日刊工業新聞2016年7月27日
石橋弘彰
石橋弘彰 Ishibashi Hiroaki 第一産業部
世の中人工知能ブームのまっただ中で、いろいろな企業が人工知能を扱っている。だが、どの人工知能が優れているのか、どこに特徴があるのか、といった中身が分かりにくい。シミュラティオのシステムは、文章を深く意味理解できるのが持ち味。特徴のある人工知能システムだけに、今後存在感を発揮しそうだ。

編集部のおすすめ