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シーメンス、中国版「製造業革命」を見据え北京に新研究組織

300人規模、工作機械やロボットの人工知能化で新サービス創出へ
 【北京=長塚崇寛】独シーメンスは、中国での研究開発体制を拡充する。現地法人内に300人以上で構成する新たな研究開発組織を整備するほか、新技術や新サービスを専門に取り扱う拠点を上海に設ける。中国政府は2015年に製造業の今後10年間のロードマップを示した「メード・イン・チャイナ2025」を策定し、製造業の高度化を加速する。シーメンスは研究開発体制の強化で、同ロードマップの進行に貢献。同社にとって米国に次ぐ事業規模を持つ中国事業の基盤固めにつなげる。

 シーメンスは、2016年9月期の研究開発費を前期から3億ユーロ(約342億円)増やし48億ユーロ(約5472億円)に設定した。今回の研究開発拡充策にもこの一部を充て、次世代情報技術やデジタル制御の工作機械・ロボット、人工知能(AI)の研究開発を重点戦略に掲げる。

 現地法人のシーメンス中国(北京市)に新設する研究開発組織は、中国での技術開発に横ぐしを通す全社組織。300人規模の技術者やエンジニアが「インダストリー4・0」やIoT(モノのインターネット)など、製造業のデジタル化に貢献する要素技術を研究する。

 上海で10月に立ち上げる拠点は、新たな技術やサービスを専門に取り扱う独立組織「ネクスト47」の一環。同組織は米シリコンバレーと独ミュンヘンにも拠点を設置し、今後5年間で約10億ユーロ(約1140億円)を投資する。AIや小規模電力網(マイクログリッド)、ネットワークに常時接続するコネクテッドカーなどに力を入れる。
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
ミュンヘンでも銃乱射事件が発生、ドイツ政府は「テロの可能性が排除できない」とコメントしている。製造業が多く、インダストリー4.0をけん引するドイツ大手企業が、人材戦略などグローバルのポートフォリオを今後どのように組み立ていくか注視しないといけない。

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